6.3.3「順中逆西」時の評価結果
(1)順中逆西:中水道・北航(北流時:シナリオ1)の場合
「順中逆西」に従って、大型船ならびに小型船が北流時に中水道を北航した場合(シナリオ1)の評価結果を図IV-6-4(大型船)および図IV-6-5(小型船)に示す。
各図のグラフは操船シミュレータ実験における自船の航行距離を横軸とし、潮流が操船に与える影響の指標値として
?「環境ストレス値」・?「SNS値(SNS値の全サンプルの標準偏差以上の値)」、潮流が操縦に与える影響の指標値として
?「斜航角」・?「偏位量・側方距離の評価コード」、
ならびに潮流が測位に与える影響の指標値として
?「測位誤差量」
の値を縦軸に示している。
また、図IV-6-6に分割した水域ごとに各評価指標の正規化された値を示す。正規化は目安としての基準値が与えられた「環境ストレス値(基準値750)」「潮流影響(基準値14.3)」および「追越しの危険(基準値コード2注)」を対象とし、その値は各水域における評価最大値をそれぞれの基準値で除した値とした。
1)環境ストレス
大型船・小型船とも水域I(中水道最狭部の南側水域)で評価値のピークが認められる。このシナリオは中水道を北航するものであり、陸岸によるストレス値の変化は中渡島・馬島間の最狭部を通航する状況と対応している。一方、他船によるストレス値は大型船と小型船との間で大きな差が認められる。概略として、大型船の他船によるストレス値は中水道最狭部の手前(水域J、I)からの増加傾向が認められるのに対し、小型船では最狭部通過直後に高まりがあるのみである。この違いの要因の一つに、先行する同航船との船間距離がある。(大型船は最狭部手前で前方の同航船を追越そうとしたのに対し、小型船は速力調整により同航船との船間距離を確保した。)結果として大型船では、環境ストレス値が基準値以上となる状況となった。
小型船にみられる交通環境ストレス値の高まり(水域G)は、同航船を追い越した状況のものである。
大型船の評価値(環境ストレス値)の変化傾向から、最狭部を望む水域での追越しは、陸岸と他船の双方に注意を払わなければならず、操船者にとって厳しい状況を招来する可能性があると言える。
2)生理的反応
大型船・小型船ともデータ欠測
注追越しの危険評価の基準値の意味は、図中に凡例として示した。