2.2.3まとめ
本報告においては来島海峡航路における通航方式に関するシミュレータ実験について、心拍データを用いて操船者に課せられている知的負担について検討を行った。大型船については現行の順中逆西の航法から右側通航方式に変化することによって操船者に及ぼす影響についてF-SNS値を用いて評価を行った。小型船については通航方式を右側通航とした大型船のシミュレータ試験結果との比較を行った。
解析結果は以下に述べる通りである。
1.F-SNS値を用いて操船状況の解析を行うことによって、操船者がどの様な状況下で負担を感じているを明らかにすることができた。
2.順中逆西、南流、中水道、南航と右側通航、南流、西水道、南航時の操船者の負担比較の結果は、中水道航行時、1分間当たりのF-SNS値は8.3である。これに対して西水道航行時、1分間当たりのF-SNS値は12.0となり、西水道航行時すなわち、右側通航方式の負担が大きいと考えられる。
3.順中逆西、南流、西水道、北航と右側通航、南流、西水道、北航時の操船者の負担比較の結果は中水道航行時、1分間当たりのF-SNS値は3.2ある。これに対して西水道航行時、1分間当たりのF-SNS値は3.2となり、同等の負担と考えられる。
4.大型船の操船者と小型船の操船者に課せられた操船負担は大型船が大きいことが示された。
今後は操船者の負担を表すF-SNS値に加え、SNS値の大きさを評価することによって操船者が許容できる状態の抽出が可能になると考えられる。