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2.2.2各船種に対するSNS値の評価

先に述べたSNS値の増加と知的負担の要因解析の結果より、SNS値の変動は操船者が受ける知的負担を表すことが出来る評価値であることがわかった。

本節では解析結果より得られたSNS値標準偏差の1倍以上の値発生頻度(以下F-SNS値と呼ぶ)を用いて現行の航法と右側通航との比較を行う。

比較対象はシナリオ3-1とシナリオ6-1及びシナリオ4-1とシナリオ5-1である。前者は順潮流中を中水道、西水道をそれぞれ南航する場合の比較である。後者は逆潮流中を中水道、西水道をそれぞれ北航する場合の操船者負担の比較である。

表IV-2-6に大型船の実験より得られたF-SNS値を変針操船と航行船の行動推定及び避航操船に該当する内容に二分し集計したものを示す。両者の区分は行動記録、航行船航跡図に基づき行ったものである。但し、航行船の行動推定及び避航操船は同一の知的負担として取り扱うこととする。

F-SNS値の集計において、知的負担が変針操船と航行船の2つの要因により発生している区間は、集計数をそれぞれの要因に1/2づつ振り分けることとした。

表の1列目に各実験シナリオ名、2列目に変針操船に該当するF-SNS値、3列目に航行船との干渉により生じたF-SNS値、4列目に各実験によるF-SNS値の合計、5列目に一分間当たりのF-SNS値、6列目に所用時間を示した。また、図IV-2-26は表IV-2-6の集計結果を棒グラフで示したものである。

表IV-2-6からもわかるように比較対象となる2つのケース(シナリオ3-1とシナリオ6-1-2、シナリオ6-1-3及びシナリオ4-1とシナリオ5-1)において来島海峡を通過するための所要時間及び航行船との干渉のために生じているF-SNS値が異なることがわかる。これは潮流の状態によって通過に要する時間が大幅に異なることと、通過時の操船内容が異なるためである。このために逆潮流時は潮流によって操作余裕時間が増し、針路制御、計画航路上を航行するための補正操船が頻繁に行われることとなる。

航行船との干渉による発生頻度の違いは航行船の航行シナリオの内容が各実験ケースで同レベルの干渉が発生する内容となっていないためと思われる。

従って、本報告においてはF-SNS値の総数を評価対象とせず単位時間当たりの知的負担を比較対象とする。比較区間を同等とするために、中水道航行時と西水道航行時の航行条件がほぼ同一となる馬島付近に設けられた航路横断禁止区域での操船結果を抽出し比較を行う。

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