実験ケース2-1(北流・逆西)のケースで、このときは小島東方で同航船を追い越す状況で高いストレス値が現れており、これについては操船者も危険を感じたとコメントしている。
ところで、表の下段Shipの欄に示される交通環境ストレス値は、地形制約の影響を受けない水域で他船の影響のみを考慮した場合の負荷の大きさを意味している。実際には、地形的な制約を受ける狭い水域でこのような他船と出会うわけであるから、操船者に課される負荷はかなり大きなものとなる。総合環境ストレス(表の上段Aggregateの欄参照)の値は、このような狭い水域で他船と出会うときの重畳された負荷を示すものである。
したがって、地形制約を受けない水域で他船と出会う場合それが十分低い負荷の程度であっても、これと同じ出会いが狭い水域で発生すると“catastrophic”や“critical”のランクに属する負荷となって、操船者にとっては許容できない状況にもなる。
来島海峡では、地形的制約に起因する操船環境負荷もある程度影響は見逃せないが、地形制約のないところでさほど問題のない他船との出会い状況であっても、それが狭い水道内で生じることにより、結果として総合的にはかなりの程度の困難感を与えることになっている。