図IV-1-18によると、船長300mの船型ではシナリオ3およびシナリオ4において速力の影響が大きくでている。別途行われた評価では10ノットでは当該船型での潮流の影響が甚大であり、航行不可能と判断された。一方、船長50mに着目すると速力の違いによる最大偏位の差はいずれのシナリオでも50m(1L)以内であり、船型が小さいために他の船型に比較して潮流の影響が少ないものと推察できる。
その他の船型については、シナリオの違いによって最大偏位の差に、船長200mの船型では約140m〜約55m(約0.7L〜約0.3L)、115mの船型では約80m〜約40m(約0.7L〜約0.35L)、75mの船型では約80m〜約30m(約1L〜約0.4L)の違いがみられた。
iii)操船シミュレータ実験における自船
船長300mの船型は操縦シミュレーション(単独航行)結果から、最強潮流の影響が甚大であることは明らかであり、操船シミュレータ実験において他船とともに通峡することは極めて困難になると予測される。一方、船長50mの船型では、潮流の影響が他の船型と比較して少なく、航法等を比較検討するためには不適当であると判断される。
ここでは、船型の違いにより潮流影響の程度に差異が認められたことを踏まえて、シナリオの違いによって潮流の影響が大きく異なることを考慮し、大型船として船長200mの船型を、また、小型船として船長75mの船型に着目するものとした。
以上のことから、操船シミュレータ実験の自船モデルは、大型船として船長180mの貨物船、小型船として船長65mの貨物船を用いることとした。