1.3.3自船
(1)船型の設定
操船シミュレータ実験における自船は、操縦シミュレーション(単独航行)の結果から選定するものとした。操縦シミュレーション(単独航行)では航法(「順中逆西」・「右側通航」)、潮流(北流・南流)および航行方向(北航・南航)の組合わせからシナリオが設定され、各シナリオ毎に自船船型・航行速力をパラメータとしたケースが実施された。操船シミュレータ実験の自船選定にあたっては、航法の違いによる潮流影響の差を検討することを考慮し、「船型」と「航行速力」の関連を確認した後、「船型」毎に「航法の違い」からくる潮流影響の大小を比較するものとした。潮流影響は、影響の結果を直接的に表す偏位量をもって標すものとした。
i)操縦シミュレーション(単独航行)の結果
表IV-1-4に操縦シミュレーション(単独航行)の各ケースにおける目標航路からの最大偏位を示す。
ii)航行速力の違いならびに航法の違いによる潮流影響の差
図IV-1-12から図IV-1-17に各船型毎の航行速力の違いによる潮流影響(最大偏位)の差を示す。
最強潮流下において、いずれのシナリオにおいても船型が大きくなると最大偏位が大きくなり、また、航行速力が大きくなると最大偏位は小さくなる傾向が認められる。ただし、シナリオ間(すなわち航法、潮流、航行水道および航行方向の違い)において、速力の違いが最大偏位に及ぼす影響の程度には差異がある。例えば、船長300mの船型に着目してみると、シナリオ3においては航行速力の違いが最大偏位に大きく影響している(約300mの差)であるのに対して、シナリオ1では約110mである。
そこで、シナリオ毎に速力の違いによる最大偏位の差を比較してみた。図IV-1-18に各船型毎の速力の違いによる最大偏位の差を示す。