1.3.2交通環境
操船シミュレータ実験における交通流は、海上交通流シミュレーション結果に基づき発生させるものとした。
今回の海上交通流シミュレーションでの諸条件(発生させる船舶の種類・隻数、航行ルート、初期設定の航行速力)は、平成8年度に実施されたシミュレーションと同様であるが、追越し制限を加えたケースでは、個々の船位計算に潮流の船首尾線方向の成分が加味されている。
海上交通流シミュレーションの結果によると、中水道を強潮流(逆潮)下で追越しの制限がある場合には、中水道の途上で船舶の停滞が認められ、航行安全の確保に支障があると判断される。また、操船シミュレータ実験では、操縦シミュレーション(2船間相互影響)の検討結果を検証する必要性もあることから、操船シミュレータ実験における交通環境としては、追越しが制限されていないケースの交通状況を再現するものとした。
(1)発生隻数
海上交通流シミュレーションでの中水道・西水道を航行する船舶の隻数は、実態観測中の最輻輳時間帯における観測隻数から、以下に示す手順にしたがって、ともに15隻/時間とされた。
?実態観測は3日間にわたって実施された(平成4年10月13日正午〜16日正午)。
?最輻輳時間帯は観測期間を通して同一時間帯の隻数を各々合算し、最も隻数の多い時間帯とされた。
?南流時ならびに北流時に対応する中水道・西水道の通航隻数の最大値はそれぞれ約90隻であり、最輻輳時間帯は南流時対応は22時台、北流時対応は02時台とされた。
?最輻輳時間帯における中水道と西水道の通航隻数は、南流時・北流時ともほぼ均等であると判断され、
(中水道・西水道の1時間当たりの通航隻数) =90隻/(3日分)/(2水道分)
=15隻
図IV-1-1に時間帯別の観測された通航隻数(3日間合計)を示す。また、表IV-1-1に各観測日の最大輻輳時間帯における通航隻数を示す。
(2)船型の区分
発生させる船舶の大きさ(船型)は、図IV-1-2に示す各水道毎の船型構成比率に準じて割振られた。また、表IV-1-2に最輻輳時間帯(02時台、22時台)における船型区分(3日間合計)を示す。最輻輳時間帯の船型区分は、中水道・西水道における船型構成比率とほぼ同様と認めることができる。