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(2)交通環境の評価(略称:交通影響)

評価指標:推定困難度

検証:海上交通流シミュレーションを実施し、航路出入り口付近における(交差の有無による)操船上の負担の違いを示すことができた。

(3)総合評価

操船影響、操縦影響、測位影響および交通影響は独立ではなくフィードバック関係にあって相互に関係しているので、どれか一つの評価指標が閾値を下回ると危険な状況が予測される。たとえば、測位の精度が悪くなると操縦量が大きくなり、操船者にストレスが加わり、乗揚げの危険が高くなる。すなわち、図?-7-1のように3種の影響項目の出力はそれぞれ他の項目に対して入力項目となっている。

また、これらは来島海峡という与えられた交通環境、自然環境(地形および潮流)を前提とした評価である。

したがって、来島海峡における航行安全を評価するためには、これらの評価指標を総合化して議論する必要がある。

総合化する際には、各評価指標を単に加算したり、合成するのではなく、図?-7-2に示すように各指標があらかじめ定めた一定の閾値を下回らないことが必要条件である。ここで言うあらかじめ決める一定の閾値は現行の航行状況における評価指標を採るのも一法である。

これらの評価指標を組み合わせて与えられた航行条件下における操船モードごとに評価することができる。図?-7-2に示すように、避航操船では主として交通と操船の評価項目が関係し、コースライン操船(あらかじめ決めたコースライン上を航行する操船を略称する)におけるマニュアル操船は操船および操縦の評価項目、これをオートパイロットで航行する時には操縦と測位の評価項目が主として関係すると考えられる。

また、交通環境と測位精度にはそれぞれ不確定さが大きいので、これらは航行海域における情報量としてそれぞれの操船モードに影響を与える。

これらの総合化した評価は来島海峡の入り口から出口まで全海域について評価することが必要である。そして、最終的に、自然環境の評価指標と交通環境の評価指標のいずれも閾値を越える(現状を改善できる)航行安全対策案の中から、最良の航行安全対策を選択することになる。

 

 

 

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