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7.評価指標の検証

海上交通の安全性は船舶が航行する水域の航行環境(風潮流の自然環境、他船舶との出会いによる交通環境等)、船舶機能(運動性能、情報提供機能等の船舶固有の機能)、および操船者(船舶を操縦する人間の特性)の二つの要素が、一つの船舶運航システムとして適正に機能することによって確保できるものである。

潮流の影響が大きく、航行水域も狭隘な来島海峡の航行については、上記の考え方から安全性を評価する必要があるとの認識の下に、以下に示す来島海峡の航行特性を表す評価方法を検討した。

(1)強潮流下での操船の評価

?潮流が与える操船への影響の評価(略称:操船影響)

a)操船者の意識を考慮した(環境ストレスによる)評価

評価指標:環境ストレス値

検証:操船シミュレータ実験の結果に適用し、操船者の許容感覚を説明できることが確認できた。

b)操船者の生理的反応による評価

評価指標:SNS値

検証:別途行われた操船の負担を変化させた操船シミュレータ実験により、操船者の負担と対応することが確認できた。

?潮流が与える操縦への影響の評価(略称:操縦影響)

a)潮流が追越しに与える影響の評価

評価指標:目標航路からの偏位量および追越し時の側方距離

検証:操縦シミュレーションを実施し、強潮流下での追越し船.被追越し船の挙動を確認するとともに、別途行われた操船シミュレータ実験により、側方距離について操船者の許容感覚との対応を確認した。

b)潮流が単独航行に与える評価

評価指標:斜航角、偏位量など

検証:船体制御からみた潮流影響の評価指標を複数選出し、操縦シミュレーションを実施して各指標間の関連を確認した。いずれの指標も潮流影響を表すことができると確認されたが、操船者の感覚との対応がとれることから、主として斜航角を用いることとした。?潮流が与える測位への影響の評価(略称:測位影響)

評価指標:測位誤差量

検証:来島海峡付近の目標物を用いた測位精度(測位誤差量)を求めた。また、トランジットの有効性を確認するとともに、測位の時間間隔と測位精度による評価方法を検討した。

 

 

 

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