図には来島海峡大橋からの距離(前方目標からの距離で単位はm)に対して、トランジット位置の線の横変位量を単位mで示している。ここで示したトランジットは、来島海峡大橋からおおよそ1500m以内の範囲で使われるものであるから、このすべての位置の線の横変位量が40m以下となることが判る。昨年調査した潮流の影響による横変位速度は最大で46.3?/min程であったことから、船が潮流の影響で46.3mほど横変位が発生しても、ここで示したトランジットにより検出可能である。
5.3.3トランジットの利用について
トランジット位置の線は方位位置の線に比べると、遠距離では精度が劣るが、方位はコンパスなどを使用して測定する必要があるのに比べ、トランジットは目視のみで知ることができ、操船しながらでも利用することができる。狭水道航行において進路方向にトランジットを設定することができれば、トランジット位置の線の精度の範囲で横変位を修正することができ、トランジット位置の線の上を容易に操船できる。このことから狭水道では積極的にトランジットを設定し利用すべきである。
狭水道でトランジットを設定する場合は次の要領で設定することが望ましい。
・2つの目標の間隔を十分にとること
・識別が容易な目標であること
・計画航路の延長線上に設定すること