5)漁労等の禁止
TSS城内における漁労、帆または櫂による航走、水泳は原則として禁止
6)フェリーの航行
海峡の両岸を結ぶフェリー等の船舶は、TSSをこれに沿って南北航する船舶の進路を避けること。
7)航行の規制
?潮流によるもの
イ.流速4ノット超のときまたは南風により北流の生じているとき、長さ150m以上の船舶および喫水10m以上の船舶で速力10ノット以下のものは入峡禁止
ロ.流速6ノット超のときまたは南風により強い北流の生じているとき、長さ150m以上の船舶および喫水10m以上の船舶は入峡禁止
?視程によるもの
イ.視程2海里以下ではレーダーを常時使用すること。
ロ.視程1.5海里以下のとき、レーダー作動不良の船舶は入峡不可
ハ.視程1海里以下のとき、危険物積載船および長さ150m以上の船舶は入峡不可
二.視程0.5海里のとき、一方通航とし、長さ100m未満で危険物を積載していない船舶のみ、その方向に航行可
ホ.視程0.5海里未満のとき、海峡は閉鎖される。
8)水先
イ.長さ150m以上のトルコ船は水先人を乗船させること。
ロ.海峡の地形、海気象、海上交通量等に鑑み、水先人の乗船を強く勧告する。
(注)海峡を通航してマルマラ海の港に入港する船舶に対しては強制水先であるが、海峡を通航するのみの船舶は任意水先である。
(4)左側航行について
ボスポラス海峡の中央部においては、かつて左側航行が行われていたが、1982年5月トルコ当局はこれを改め国際海上衝突予防規則に則った右側航行に改めた。左側航行が行われていた区間を図I‐7.2潮流図に示した。
左側航行は、往時において帆船、低出力機船が、特にマルマラ海から黒海に向けて北航する際に、流速の弱い水域、ワイ潮を利用する必要があり、これが海峡の地形、特性からして左側航行となったものである。しかしながら、国際海上衝突予防規則による右側航行から左側航行に切り替わる海城においては、当然進路の交錯が生じることとなり、船舶交通量の増加とともにその危険性が増加し、加えて船舶の主機出力の増大化により潮流を利用する必要性が薄れたことから右側航行に改めたものである。