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2.順中逆西航法

 

2.1沿革

潮流の流向によって通航方式を変える「順中逆西」の航法が、初めて成文法として施行されたのは昭和4年(1929年)の「内海水道航行規則」とされ、以後昭和28年(1953年)の「特定水域航行令」、現行法である昭和48年(1973年)の海上交通安全法」と引き継がれている。

「内海水道航行規則」の制定にあたっては、すでに明治期より検討が開始され、外務省外交資料館の「瀬戸内海航海規定草案」(明治36年)、「内海航行規則」(明治42年)の両案には、既に来島海峡の順中逆西航法が出現している。また、大正12年の海難審判において、「航海者一般の常用航法に反し、順潮に乗じて来島海峡西水道を通航せんとした」ことは運航上の過失と裁決され、こののち、順中逆西航法が判例法となった。

これらのことより、「順中逆西」の航法は、明治〜大正期において航海者一般の常用航法として普及しており、昭和4年(1929年)「内海水道航行規則」の制定に際して成文化され、現在に至っているものと思われる。

 

2.2航法の概要

(1)順中逆西の原則

順潮の場合は中水道を、逆潮の場合は西水道を航行すること。このため、5ヶ所の潮流信号所が設置されている。

(2)転流時の特例

中水道または西水道を航行中に転流があった場合は、引き続き当該水道を航行することができること。

(3)来島の瀬戸航行船の特例

来島の瀬戸(小島と波止浜との間の水道)を航行する船舶は、順潮の場合であっても、西水道を航行できること。

(4)巨大船等の航行

巨大船等は昼間の憩流時または弱順潮時に中水道を航行すること。

 

 

 

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