2.東京湾における既往調査
昭和62年、(社)東京湾海難防止協会(以下、東海防という。)に「東京湾における海上交通安全法に基づく行先信号調査研究に関する検討会」が設置され、4ケ年にわたる検討を行って、平成2年11月に調査結果が報告されている。
以下は、その概要である。
2.1経緯
東京湾における海交法に基づく行先信号については、制定以来追加.変更が加えられ、制定当初に比して複雑な信号となっているとして、海事関係者の立場から見た種々の意見を取りまとめ、よりよい行先信号を検討のうえ、行先信号見直しの資料とすることを目的として検討された。
2.2検討の概要
行先信号見直しの基調査検討に当っては、東京湾海域を航行する船舶関係者からアンケート調査を行い、この結果および検討会における経過を通じ、その基本的な条件と東京湾において最も効果的な信号方法として、次の結論が得られた。
(1)行先信号見直しの基本的な条件
東京湾内各港の港湾整備および東京湾横断道路建設に伴う東水路の設定などにより、
船舶交通の輻輳する東京湾内の船舶交通流が変化していること、船舶運航者の省力化が進み少数乗組員となっていることなどから、理解しやすく簡単な信号方法が必要であるとして、次のような基本的な条件を設定した。
?入湾船のみを対象とすること。
?航路航行中、信号の変更がないこと。
?浦賀水道航路、中ノ瀬航路航行船を明確にすること。
?航路航行船は、全船行先信号を行うこと。
?夜間信号については、灯火による方法とすること。
(2)最も効果的な信号方法
?昼間信号(表2-1、図2-1および図2-2参照)
(イ)浦賀水道航路のみを航行する場合と、浦賀水道航路を経由して中ノ瀬航路を航行する場合(浦賀水道航路を横切り中ノ瀬航路を航行する場合を含む。)との二つの経路別の信号(以下「経路別信号」という。)を設けること。