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第4章 今後の課題

 

打上式津波警報伝達システムの普及を図るため、地震や津波に対して関心の高い三陸沿岸の宮古市と東海地区の沼津市で説明会及び公開実験を行い、地方自治体の防災関係者、海洋レジャーや漁業関係者、報道関係者の理解を得るとともに、各方面から本システムに関する様々な意見を収集した。

第3章で述べたように、一応の理解は得たものの実用化に当ってはまだ課題が多いことが分かった。本章ではこれらの課題点を整理した。

1. 打上装置に関する技術的課題

警報信号として採用されるためには、信号弾(飛翔体)が一つの故障もなく確実に発射され、飛翔し、所定の高さで定められた基準どおりに炸裂し発音しなければならない。

このため、第1章2で述べたように信号弾の初速の増加、発射筒を円筒から角筒に変更等の改良を行った。その結果、今回の公開実験では強風下においても、荒天時においても問題なく所定の高度までの飛翔、1発2点音が確認され一定の成果があった。しかし、次のことが指摘される。

? 宮古市において1個であったが落下傘の非開傘があった

? 発音間隔に乱れがみられる。特に沼津市の実験では乱れが大きい

今後、品質管理や製造精度の向上を図る等信頼性の確保に努める必要がある

 

2.信号音に関する課題

今回の実験では、「伝達範囲5?の地点で最低音圧80dB」という所期の目標は達成することはできた。また、本システムは海岸や沿岸等従来の警報の空白域にいる人達には「有効である」との意見も多かった。

しかし、アンケート調査でも分かるように、感覚的にみて「警報信号としては音が小さい」ため「他の行事の花火と区別が付かない」ことから、信号音を特殊音にする、可視・可聴警報信号にする等の意見が多かった。これらの貴重な意見を踏まえて、実用化に向けたさらなる改良が必要であろう。当面、次のような改良点が考えられる。

? 現在の装置で可能な範囲で音圧レベルを上げ、4km〜5kmの地点でも95〜100dBを確保する。

? 現在の信号弾を異状と感ずる特殊音に変更することは、技術的に困難である。

また、6連続音の2回反復方式を、12連続音に変更することは現装置を2台並列にすればよく最も簡単であるが、小型・軽量化の目的に反し費用も嵩む。従って、音の他に

 

 

 

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