4.1 「東京湾における安全対策に関する調査研究 完了報告書 平成3年3月」
(1) 航路体系4案およびその検討内容
1)準環流方式(図1)
この案は現行経路のうち横浜航路に向う船舶を中ノ瀬航路経由として、中ノ瀬西方海域の航行危険度を軽減しようとするものである。
この案については次の意見があった。
ο現状における中ノ瀬西方海域における危険度とこの案による中ノ瀬航路を出て横浜方面に向う船舶と東京、千葉からの南航船が交差するために生じる危険度とを比較して、前者が大であればこの案で良いが、さもなければ現行のままが良い。
ο中ノ瀬航路を出る大型船舶と南航船との交差は東京マーテスにより調整してはどうか。
ο根岸、横須賀へ向う船舶も中ノ瀬航路を北上し、中ノ瀬を迂回して入港するのがより安全である。
ο4案の中では、この案が現行に近く、経済性からも他の案よりは良い。
2)環流方式?および?(図2および3)
環流方式?および?は準環流方式で指摘された中ノ瀬航路を出て横浜、川崎方面に向う船舶と東京、千葉からの南航船が交差するための危険を無くすため、東京湾に入出港する船舶を総べて反時計廻りで環流させる方式で、環流方式?は北航、南航とも東京湾横断道路東水路を通航し、環流方式?は北航は東京湾横断道路東水路、南航は西水路を通航するものである。
この案については次の意見があった。
ο環流方式?で西水路を南航するのは停泊船が多く無理である。
ο北航船は中ノ瀬と東京湾横断道路間の海域でターンさせたらどうか。
ターンする場所についてはシミュレーションで決めたらよい。
ο中ノ瀬と東京湾横断道路間の海域は航行安全センターの船舶通航状況航跡図でみると相当混雑している。
ο狭い海域での180度変針は、南航船との合流、運動性能等からかなり危険である。
ο東京、千葉以外の湾西岸各港は経路長が増大し、時間がかかるのでポートセールス上問題があり、配慮が必要である。
又、経路長の増大は、非常に輻輳している東京湾をそれだけ長く航行しているということで安全上も問題がある。
ο川崎、横浜、横須賀の沖は現状では船舶交通路の確保が困難になってきている。
湾内交通経路の検討は港湾整備の面からの対応と相互にリンクするものであり、調和をとる必要が出てきている。