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(6) 外部からの操船支援情報の活用

今までも述べてきたように、運航に当たっての安全対策の一つとして外部からの操船支援情報のあり方、その有効活用がある。

外部情報の的確な把握と、水先人乗船・非乗船に係わらず船舶間、陸船間の通信(話)手段(Bridge to Bridge/Station Communication System)の確立・強化も、船舶航行の安全を保持する上で欠かせないものである。

1)東京湾海上交通センターによる監視・情報提供

海上交通センターは、海上保安庁が本年9月1日から実施している「中ノ瀬西側海域を北航する喫水17m以上の船舶は、中ノ瀬A、B、CおよびDの各灯浮標を結んだ線から400m以上離して航過すること」の航法指導に基づき船位監視、注意喚起(情報提供)等を行っているが(海上交通センターのレーダ画面に中ノ線A〜D灯浮標から400mの離隔線等を表示し、北航船が航行経路を外れている場合は、進路を是正するよう注意喚起を行う等)、これらは巡視船歴による指導とともに当該大型船の航行基準進路保持、事故防止に有効と考えられ、航行船舶はその監視および指導内容を着実に遵守することが重要である。

2)船舶間および陸船間の通信

大型船における船舶間の通信は、現在国際VHF無線電話(6chおよび13chはか)を使用することとなっており、また、緊急通信波として国際VHF無線電話16ch、陸船間通信波として国際VHF無線電話12ch、14chおよび22ch(このうち海上交通センターとの間の通信は14chおよび22ch)により通信することとなっているが、現状は、VHF無線電話の未聴取、輻輳等から必ずしも船舶間相互および陸船間の意志の疎通が十分に図られているとは言い難い。

VHF通話の適正な使用等が切に望まれるところであるが、VHF無線電話の輻輳を解消することはすぐには困難であり、また、船舶間の意志疎通手段としての自動識別システム(AIS)の運用までにも多少時間がかかることを考えると、何らかの方策を検討する必要もあると思われる。

 

(7) 海域利用者間の自主協力体制

これまで中ノ瀬西側海域における大型タンカーの航行の安全確保、安全対策について調査検討してきたが、言うまでもなく、当該海域は大型船のみならず中小型船の航行水域、プレジャーボート・遊漁船の活動する水域でもあり、また漁業操業の場でもある等、多様な水域利用が展開されている海域である。

このような海域において、大型タンカーのみの対応でその航行の安全を保持することは困難であり、他の利用者の協力と理解すなわち当該大型タンカーの基準進路(経路)・操船法等の周知と協力が特に必要となる。

当海域のより安全且つ調和のとれた利用法を構築することは、現状の混雑を考えるに急務と思われるが、そのためにも海域利用者間におけるお互いの理解と協力体制をより確かなものとすることが重要であり、今後利用者(団体)間で協議の場を持ち、お互いの情報を交換する等相互に理解を深めることが必要である。

 

 

 

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