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動といったヒューマンエラーが発生しやすい。したがって、操船者の負担を軽減し、ヒューマンエラーを軽減するような、判断が容易で有効な情報を提供することが望まれる。

現在、上記システムの研究・開発が盛んであり、統合操船システム(INS)、統合ブリッジシステム(IBS)、航行安全支援システム等と呼ばれ、現在市販されている物の中には必要とされる要件をほぼ満たしているものもあると聞く。

地形的にも制限された狭水道等の輻輳海域において、大型タンカーにとってはその操縦性の特異性から、適確な船位および進路の連続的な検出とその保持が必要とされ、時間的にも距離的にも前広に海域の状況・他船の挙動等を把握し、早めの的確な操船判断が要求されるため、船橋における航海支援システムの有効利用が特に望まれるところである。

もっとも、船橋においてそれらを効率的に運用・活用するのは、船長を含めた乗組員あるいは水先人であり、当該システムを有効に利用・活用するための船橋における体制と、技術・技能の向上が必須のものとなる。

2)航海支援システムの現状

以下、上記システム等を構成する要素となるものの一部をあげてみる。

?GPS、DGPS〔(Differential)Global Positioning System〕

GPSは、米国が運用する衛星航法システムで、標準測位サービスが民間利用にも解放されているものであり、水平面内の測位精度(公称)100m(95%誤差円の半径)とされており、現在船舶の利用も多い。

GPSの測位精度と信頼性の向上のため、DGPSが開発、運用されているが、その測位精度は10m以下にまで改善されていることから、船舶が輻輳する湾内等の制約された海域においてはより有効な測位システムと思われる。

我が国においては、DGPS局を、平成9年3月剣埼と大王埼に開局し、将来的には27局で日本沿岸全域をカバーする予定である。

※巻末参考資料5.3-2「DGPSの現状」参照

?航海用電子海図(ENC:Electronic Navigational Chart)

・海上保安庁水路部では、沿岸航行用の航海用電子海図4枚を既に刊行しており、4枚のCD-ROMで我が国周辺海域全域をカバーしている。今後、大縮尺の電子海図整備を計画している。

ENCの表示システム(ECDIS:Electronic Chart Display and Information System)は、ENCの海図情報を表示し、併せて、その他の航海に必要な各種の情報を表示できる航海情報システムであり、航海計画、航行監視、航海記録等に安全性・利便性を発揮する。

 

 

 

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