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船舶からの取扱不注意による油排出事故では、燃料油取扱作業中のミスによるものが最も多く、42件と全体の約半数を占めており、この中で補給作業中のミスによるものが25件、約27%、また、移送作業中のミスによるものが17件、約19%となっている。このほか、ビルジ取扱作業中のものが16件、約18%などが目立っている。

船舶からの取扱不注意による油排出事故のうち、貨物油取扱作業中のものは、7件、8%と全体に占める割合は低くなっているが、一度事故が発生すれば、大量の油が排出されることが多く、水産動植物等に対して直接被害を及ぼす等、海洋環境に与える影響が大きいものともなる。

なお事故原因の状況をみてみると、そのほとんどが初歩的なミスによるものであり、燃料油取扱作業中の事故では、バブル操作の不適切によるものが15件、約36%と最も多く、次いでタンク油量の計測不適切14件、約33%となっており、このほか、ポンプ操作不適切、関連機器点検整備不十分等が挙げられる。ビルジ取扱作業中では、バルブ操作の不適切によるものが7件で約44%ともっとも多く、次いで関連機器点検整備不十分によるものが4件約25%となっており、このほか計測不適切等が挙げられる。

第1表には、具体的に表されていないが、諸機関運転中のミスの代表的なものとして特に注意を払ってほしいのが、小型船にみられるビルジポンプが直結した主機関を運転する際のパルプ切換えミスやパルプ閉鎖の不確認によるものである。

陸上からの油による海洋汚染は、第3図に示すとおり8件発生しているが、このうち取扱不注意によるものは5件、約12%となっている。

 

(2) 廃油ポールの実態

(1)で述べた海洋汚染の発生確認件数は、海洋に排出された油や廃棄物などによる海洋の汚染現象を、件数的にとらえたものであるが、油による海洋の汚染状態を示すものとして、廃油ボールによる汚染現象が広く知られている。この廃油ボールと称される国形状あるいはタール状の油塊が、我が国の沿岸に漂着し、海浜の自然環境を損ねるなど社会の注目をあびるようになったのは、昭和40年代前半からである。その後、我が国の産業経

 

 

 

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