5. 船舶用高速ポンプ
(株)浪速ポンプ製作所
技術部開発課
岩出 高宏
1. 目的及び背景
船舶用渦巻ポンプ装置において21世紀に向けて省エネルギー、軽量、小型化など国際競争力のある製品開発の必要性と時代の要請に対応すべく次世代のポンプの開発が望まれている。
現在、機関室に搭載されるポンプの通常回転数は1800rpmが主流で一部3600rpmの電動機で駆動されている。ポンプと電動機は軸継手によって共通台板上に結合されているのが通常である。
従来からこの方法は、ポンプに軸受けを設けるため保守が複雑となり又、共通台板等による重量多重、スペースの増大、となり本船据付スペースを大きく所有することになっている。
これらの課題に対応するものとして高速渦巻ポンプの開発を主目的とし、模擬機による性能試験や耐久試験等などを実施して実用化への実現、及び従来の渦巻ポンプの特性の継承、さらに小型化、軽量化、簡素化、少スペース化を追求、艤装面、運転操作面、保守点検面での大巾な省力化、少スペース化を目的とするものである。
2. 実施内容
2.1 高速渦巻ポンプ模擬機の製作
船舶に搭載される給水ポンプは、高圧の為、横型片吸込多段式渦巻ポンプが装備されている。ポンプを駆動する誘導電動機は60Hz 2極3600rpmが最高回転数として使用されている。電動機の回転数を6000rpm(100Hz)以上に高速化を計ると、ポンプは複数の羽根車多段式から単段の渦巻形状におきかえられる。立証試験機には相似形の模擬機を製作することとした。
ポンプの高速化にはインバータを使用して誘導電動機を高速運転する必要がある。
標準誘導電動機の2極3600rpmをインバータ制御して回転数を上昇した場合運転出来る最高回転数は現状において約4100rpmまでが限度である。大手電動機メーカーの高速化においては動力15kW迄最高回転数4800rpmのものが開発発表されている。今回開発する6000rpmの高速回転する電動機は、軸受けの温度上昇、潤滑方式、冷却方法、等の検討が必要であった。軸受の潤滑方式に関して6000rpmまでは一般的なグリース注入方式が可能なことから、又、電動機の冷却対策は自己冷却ファンの取付が困難なため外部強性冷却方式をそれぞれ採用した。