要 約
熱回収及び再生が有用なことは長い間認められてきたが、熱交換器の不備(特に構造上の完全性)が、市場力(例えば、豊富な低コスト化石燃料)と相俟ってこのクラスのガスタービンの広範囲な使用を妨げてきた。21世紀の当初の10年中に現在供用が計画されている機関では、低排気が熱力学的サイクル及び機関の特徴選定の主要因となる。SFCの著しい削減(例えば30%の段階的削減)には排気熱回収交換器が必要である。
熱交換器に関して設計者が最大限に努力したのは小型機関クラス(ハイブリッド自動車及び小型発電機セット用)であり、その場合、超高温のためセラミックコンポジット熱交換器が必要で、60kW機関で概ね$150のコストがかかるのである。極めて大量の生産量が必要な用途では、セラミック熱回収装置と再生装置の両方が、条件に適合するのである。
セラミック熱回収装置の研究は初期の段階であるが、簡易性故に、小型機関用として低コスト及び(モジュールとして)統合化が容易であるという利点があるかもしれない。回転式セラミックデイスク再生装置の開発は30年以上にわたり継続しており、材料技術及び製造法に関しては著しい進展がみられるのである。長期間の耐久性及び約7%以下へのシール漏れの減少の実証は今後の課題である。回転機械との複雑な統合化は、シール方式及び駆動機構と共に、コスト目標に対して払っている努力を深刻化している。
小型機関に対するあらゆる努力目標を実現するには、再生装置の新しい考え方が必要かもしれず、また斬新な考え方が論議されてきていると結論づけられる。(大型機関用)熱回収装置の場合、ユーザーのニーズに対応するために利用可能な金属ユニット(例えば、プライムサーフェイス、プレートフィン、プロフィールチューブ)がある。これらのユニットは、少量生産の場合は、コスト高で、低コストの天然ガスがある時代には、産業用ガスタービン用に利用するという関心は殆どみられない。
舶用推進のICR機関の初期の展開の場合は、金属熱回収装置が使用されるが、その後の機種では、技術利用が可能な場合セラミックコンポジットユニットが使用されることになる。セラミックコンポジット熱回収装置技術は初期段階にあり、開発を刺激する小型機関の大量生産の潜在能力ともなっている。熱回収装置のマトリックスは、大量生産方式(例えば、オイルフィルターの場合)で生産できるので、この分野での新たな考え方も必要である。
熱回収装置は、容積に対して表面積の比が極めて大きいので、触媒でコーティングされ、耐用期間の延長が、力強い条件となる可能性がある。大型機関に役立てるため小型機関分野からの熱交換器技術の移転と利点もあげられる。2005年以降に供用される(約15MWまでの)産業用先端的ガスタービンは、インタークール、高効率セラミックコンポジット熱回収装置の使用を基準として効率水準が50%になると予測されている。
21世紀の最初の10年間は熱回収及び再生ガスタービン機関の時代となるものと著述者達は強く感じている。今日十分には認識されていないが、その時にはこれらの機関がガスタービン産業の主流となるものである。