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21世紀に向けての高効率ガスタービンにおける熱回収及び再生機関サイクルの利用

 

要 約

ガスタービンの分野においては、「単純サイクル」機関(圧縮機+燃焼器+膨張器)が発電、機械駆動の殆ど総ての分野での用途において優位を占めてきた。空力及び材料技術の発展に伴い、効率値が過去50年以上にわたり著しく高まっている。しかし、特定の燃料消費量を(例えば30〜40%段階的に)さらに削減し、排出物質を著しく減少するには、廃熱回収熱交換器の使用を含めてさらに複雑な熱力学的サイクルが必要である。熱回収装置や再生装置の使用が大々的に容認される個別的な用途があるのは明白であり、その一例としては、ハイブリッド自動車及び小型発電機用の、定格出力が概ね100kWのガスタービンがある。熱回収装置及び再生装置が今後のガスタービンにおいて果たす役割については本論文中で展望する。過酷な高温作動環境及び低コストの必要条件に対応するには、斬新なエンジニアリングコンセプトが必要であり、本質的には、大量生産方式に変換可能なセラミックコンポジット熱交換器構造の利用が必要である。(Elsevier Science Ltd.1996年版権取得)

キーワード:ガスタービン、熱回収装置、再生装置、高効率サイクル

 

はじめに

今日まで、熱力学的サイクル内で、内部熱回収を織込んでいるガスタービンを使用するのには限界があった。しかし、21世紀になる以前あるいは21世紀に入ってすぐに導入が予想される過酷な環境条件に対応するには特定の燃料消費量を削減する必要がある。

その一つの条件としては、二酸化炭素排出物の削減があり、それは機関の熱効率を向上することで極めて容易に達成できるのである。その方策の一つとしては、圧縮機及びタービンの効率の向上がある。しかし、この様な方策は、停滞気味で今後の発展はわずかしか見込まれない。サイクル効率の向上はタービン吸気口温度の向上によってももたらされたが、それはセラミックを含む材料技術の改良,蒸気冷却を含む(金属タービンの)ブレード冷却の向上によって可能となり、促進されるのである。この様な分野での改良がますます増加していくことを期待したい。
しかし、性能を段階的に顕著に向上させるには、さらに複雑な熱力学的サイクルが必要である。それには排気熱を回収するための熱交換器の使用が含まれる。考えられる復流熱交換器の二種類の熱回収装置及び再生装置は、21世紀になって供用される高効率ガスタービンにとって重要な役割を果たすことが予測される。本論文においては、熱回収装置は定置固定境界装置と定義し、再生装置は冷気と熱ガス間を移動するマトリックスがあるものと定義する。

 

 

 

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