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4.4 モデルのデータとパラメータ

航法リスク・モデルは地理的データに大いに依存しているが、その他に人的過誤データも必要である。人的要因の研究結果を格納した小型の参考文献データベースを作成した。このデータベースには38の情報源から得た船舶事故原因の統計が格納されている。一般的に、利用できる統計は事故記録の定量的研究から得たものである。しかし、こうした統計は条件付き確率を算定するという目的で収集されたものではない。たとえば、最も包括的な研究としては、J.Karlsen及びS.Kristiansenによるものがある。その研究では、視界良好及び不良条件下での人員不足、濃霧条件下での規則違反など、多くの要因の発生件数を計数している。しかし、たとえば規則違反だけで衝突に至る条件付き確率もしくは規則違反と人員不足が重なって衝突に至る条件付き確率の算定にこの研究結果を適用するには難点があることが明らかになった。事故原因の相互作用という複雑な要因も、事故データベース設計特有の問題である。Correspondence Group on the Casualty Database construction(事故データベース構築に関する通信グループ)がInternational Maritime Organization(国際海事機関)に提出した最近の報告書では、数か国及び数機関が事故データベース設計に関していくつかの達見を寄せている。チェックリスト案に対するカナダの見通しは次の通りである。

カナダとしては、フレキシブル型データベースで支援される標準化調査・分析方式の方がチェックリストの採用といったその他の方式よりも見込みがあると考えている。人的要因チェックリストのデータベースには、次のような欠点がある。

● 人的要因と事故発生件数の関係を通信できない。

● チェックリストの採用は信頼できない。

● チェックリストを包括的なものにしようとしているが、必要とするすべての要因と条件をチェックリストに記載することはできない。

● チェックリスト項目は、記述的というよりもむしろ、数値的なものになる可能性がある。

● チェックリスト項目は、多数の要因よりもむしろ唯一の連続体上の多数の点を反映させる場合が多い。

 

 

 

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