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3.4 情報システムー航行方向

第二の航法リスク情報アクセス方法は、各種事故に対する「高リスク」区域を示すテーマ別対話マップを使用する方法である。こうした事故マップは、カスタム・ユーザー生成マップと共に、オペレータ向けにリアルタイムで作成される。こうしたマップを使用すれば、オペレータは画面上に表示された水路の一部などをクリックするだけで関連データを検索できる。

 

3.5 事故発生率と事故結果

TNSSのリスク・マップ構成要素の一部を形成する過去の事故発生率は、モデル検証作業のために試算したものである。事故発生率の試算では、Canadian Transportation Safety Board(カナダ輸送安全局)の船舶事故記録を総計し、リスク被ばく測定値を算定した。この測定値には、Transport Canada(カナダ運輸省)の記録とStatistics Canada(カナダ統計局)の記録から算定した北極海港湾の出入港件数と、Transport Canada(カナダ運輸省)の移動記録から算定した船舶航行距離なども算入した。

事故結果に関する条件付き確率は、Minerals Management Service(米国鉱物管理局)、International Oil Pollution Compensation Fund(国際石油汚染補償基金)、Canadian Ship-source Oil Pollution Fund(カナダ船舶発生石油汚染基金)の石油漏れ記録と米国沿岸警備隊の年次記録から得た統計を使用して試算した。こうした試算値には、石油漏れ事故の頻度と規模並びに航法リスク・モデルの事故コスト試算過程に採用された死傷者率も算入した。

 

3.6 モデルのデータ

事故原因データは、文献検索の他、著者が実施したCanadian Transportation Safety Board(カナダ輸送安全局)船舶事故記録の分類から得たものである。その他の因数は、過去のデータを使用した理論的関係から試算した。たとえば、所定の氷原状況と船舶タイプにおける氷原での「安全速度」は、Canadian Ice Regimeシステムの検証試験の一環として、IDIADS Trafficability Data Reports(交通許容度データ報告書)に使用された船舶通過データから試算した。こうした報告書に記載されている船舶速度と数10パーセントの海氷密度からは、対応する“ice numeral”(耐氷値)を算定した。全体で15航海のデータを使用したが、それらはすべてタイプBの船舶によるものであった(つまり、船舶タイプでもCASPPRの耐氷船分類でも北極海東部において最も普及している船舶である)。護衛中の船舶の速度は砕氷船しだいであり、航跡上での耐氷値は周囲の氷原状況の数値とは異なるので、護衛なしの航海部分のみを採用した。多くの情報源から気候データ、水路データ、氷原データを収集し、TNSS地理情報システムに導入した。セント・ローレンス川

 

 

 

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