―ル船数隻に装備した冷却装置に塩水を使って成功している。
特殊船舶に対するロイド船級協会の新規則
今年9月には、ロイド船級協会に大きな動きが見られた。特殊用途船(SSC)に対する一連の新規則が公布されたのである。この新規則が制定されたのは、船舶産業の中でも特に高速小型船部門の急速な発展に対応するためだ。この部門では、単胴型フェリー、空気クッション艇(SES)、small-water-plane-area twin-hull craft(SWATH)、エア・クッション艇(ACV)、カタマランなどを扱っているが、エンジン付き大型ヨットや巡視艇のような排水型とプレーニング型の特殊単胴艇も扱っている。通常、この新規則の適用対象となる船艇の全長は、最低24mだ。この規則では、IMO(国際船舶機構)高速船法規の分類条項も一部導入しているが、特にアルミニウムや複合材のような新建材が適用対象となる。
当姉妹誌の“Ship and Boat International"が扱っている小型船舶市場が主に適用対象となるが、このSSC新規則が特に適用されるのは、全長124mのStena社製HSS1500型カタマランや全長126mのBazan Alhambra号級新型単胴フェリーのような特殊船だ。本号の日本関係報告でも指摘しているように、さらに大型の船舶への適用計画も進められている。新規則向けの研究開発活動(現在も継続中)はロシアのクリロフ研究所で実施されたが、スラミングなどの研究はブルネル大学とストラトクリド大学で実施された。DuPon七社は、ケプラー・アラミド繊維を用いた強化積層板の疲労性能に関する研究でロイド船級協会を支援した。
機械、電気配線、制御技術に関する条項も盛り込まれているこの新規則は、新しい規則制定方式に基づいて制定されたものだ。それゆえ、船体の設計外殻に所要安全レベルを設けている。そのため、新規則の下で建造される船体では、運転限界を設定して外殻を指定すれば、船体構造材の削減化(ひいては軽量化)を達成できる。構造設計方式は需要と機能に基づいて決定される。構造材の規定寸法を算定する場合、第1段階では、船舶の予定運行区域に基づいて設計外殻を決める。これにより荷重を予測でき、さらに所要構造強度を算定し、許容基準とも比較できる。船舶設計者や造船技師の補助具となるのはウィンドウズ系ソフトウェア・パッケージだが、これは規則に照らした設計の検証をスピーディに行える。当面、このソフトウェア・パッケージでは、鋼とアルミニウムで建造された船舶の設計荷重と構造材寸法しか処理できないが、今後はFRP船体の断面、さらに制御システム、投錨・けい船設備をも扱えるようになろう。また、このソフトウェアにはSSC規則がすべて格納されているので、どの条項でもすばやく呼び出せる。
新規則を総体的に検討したい人々を対象に、ロイド船級協会では40頁からなる小冊子(文書番号6、発行期間1995〜1996年)を発行している。この小冊子では、新規則のあらゆる点について説明している他、特に設計者がその設計に規則が関係あるかどうかを見分けられる表も掲載している。この小冊子には“New Special Service Craft Rules,(特殊用途船舶新規則)という表題が付いている。添付された手引書とソフトウェア・パッケージも含めた新規則書の総価格は200ポンドである。