(THE NAVAL ARCHITECT 1996年10月号)
4. Seatrade社の新冷蔵貨物船「パシフィック」に装備したGrenco社の高性能冷蔵装置
最近完成した398,470立方フィートの冷蔵貨物船「パシフィック」号には、注目すべき新改良技術が多く導入されている。この冷蔵船は、グロニンゲンに本拠を置くオランダの大手冷蔵船運行業者Seatrade社のためにウォーターヒュイゼンにあるScheepswelf van Diepen BV社が建造したもので、1993年と1994年に同造船所でそれぞれ完成した「カリビック」号と「クール・エクスプレス」号に次ぐ、三番目のCシリーズ船である。「クール・エクスプレス」号と「パシフィック」号は、「カリビック」号の船体を長ぐしたもので、「カリビック」号の310,000立方フィートに比べ、それぞれ360,000立方フィートと398,470立方フィートの載貨容量を有している。
「パシフィック」号は全長133.92mで、van Diepen社の造船所で建造できる最大級の冷蔵船とみなされている。グロニンゲン周辺の多くの造船所と同様、同造船所も地域の運河流域にあるという立地上の制約を受けているが、それでも何とか巨大船体の建造を続けている。しかし、同造船所では、エームスハーベンにある現在整備中の用地の一つを使用すれば、さらに巨大な船舶の建造も可能と考えている。
Seatrade社の船団に加えられたこの最大冷蔵船は、これまでの貨物船と同じスリーク設計概念を採用したもので、4船倉を備え、荷役能力7トンのHydralift社製小型クレーンをそれぞれ装備している。船体の大半は平甲板で覆われ、船尾楼はなく、少し高くて長い船首楼があるだけだ。空気取入口のおもしろい設計はこれまでの船と同じで、主甲板から操舵室の両側に沿って煙突上のトランクが上方へ伸びている。
各船倉は4段に区分され、さらに8つの温度区域に分かれている。各温度区域に装備されたGrenco社製冷蔵システムは、あらゆる種類の冷蔵・冷凍貨物を-30℃〜+15℃の温度範囲で輸送できるものだが、Seatrade社では主にバナナやその他果実の輸送にこの冷蔵船を使用する計画だ。「パシフィック」号には、Grenco社のIDACインテリジェント空調システム(本誌1994年2月号のE62頁に記載)の他、液体冷却装置の冷却剤使用量を削減化する同社製のILTC設備も装備されている。
Grenco社では、「この新型船は、これまでの冷蔵船に比べ、エネルギー消費量を40%ほど効率化でき、冷蔵用電力がこれまでの775kWに対して480kWですむ」と主張している。さらに、各種使用部品をコンパクト化して載貨容量を増大している。「パシフィック」号は、将来必要に応じて雰囲気調節装置も装備できるように設計されている。
こうした新技術は、空気流、空気の配流、総出力440kWの電動機に使用した高効率の2段式変速ファンに対するGrenco社の研究成果とみなされている。こうした新技術の結集がファンの熱を下げ、ひいては冷蔵設備のサイズを縮小化している。
穴パターンを拡大した結果、軽甲板にあるアルミニウム製床格子の高さを140mmに縮小できたため、