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り燃料効率を高め、排気ガス排出量を低減化するという利点の他に、制御系統には、エンジンと操舵室の制御装置、オプションのモニター装置の間をつなぐ2線式データ・リンクも装備されている。

Caterpillar社のワインランド販売部長は、29〜35フィートのボートについて、「このサイズ範囲のボートはかつてはガソリン・エンジンに支配されていたが、この種のボートへのディーゼル・エンジン装備では、当社はある程度の経験を積んできた。他のエンジン・メーカーもその点は認めよう」と述べた。「しかし、小型のフィッシング・ボートでは、ディーゼル・エンジンの装備価格がいまだに割高だ。つまり、顧客側としてもディーゼル・エンジンの安全性、航行距離、信頼性という利点を十分認識する必要があるというわけだ」

舶用エンジン部門の最近の成長ぶりを解くもう一つの鍵は、ガソリンからディーゼルへの切替えにしろ、大型ディーゼル・エンジンへの切替えにしろ、使用中の船舶のエンジン再装備に対する強い関心だ。

「過去20年間に建造されたボートは、まさにエンジンの替え時に来ている。持ち主は旧式のガソリン・エンジンやディーゼル・エンジンをもっと強力なものに替えたがっている」と、Yammer社のトム・ワトソン次長も言っている。

MAN社のフィル・ワトソン販売部長も、「エンジン再装備市場における売り込みの秘訣は、『今のボートは気に入っているが、パワーが足りない』と言うボート所有者を見つけることだ」と言っている。通常、再装備するエンジンは必然的に大型化する。そのため、関連コストも高くなる。エンジンの再装備では、とりわけ歯車装置や吸気口、排気口も新調しなければならないからだ。

最近、MAN社では、35フィート以上のプレジャーボート市場と成長し続けるエンジン再装備市場向けに、500馬力のD2866LE402型ディーゼル・エンジンを発売した。これは、定格出力600馬力の姉妹機種D2866LE401型ディーゼル・エンジンから開発した6気筒の列形機関である。MAN社では、出力800馬力、8気筒のD2848LE403型エンジンも発売する予定だ。フィル・ワトソン販売部長によると、このエンジンは100馬力のシリンダ技術を導入したほぼ最後のMAN社製エンジンだという。

1993年以降プレジャーボート市場は右肩上りに伸びてきたが、エンジン・メーカーによると、1996年の予測は難しいという。成長が鈍化する――新造ボートの売れ行きが低迷すると見る者もいる。また、生産過剰を懸念する声もある。

そうした市況とは関係なく、確かにいえることは、舶用エンジン部門はその他あらゆるエンジン部門並みの競争力を身につけ、定評のある企業も多く、強力な製品も多いということである。

 

 

 

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