日本財団 図書館


(WORLD PUMPS 1996年9月号)

 

3.舶用ポンプの一里塚

Dipl.-Ing.Jurgen H.Timcke

ASNE(American Society of Naval Engineers)会員

Allweiler AG,Radolfzell

 

新たな需要に応えて

新世代のポンプともいえる、この新しい舶用遠心力ポンプの開発のいきさつをここに発表する。

輸送量が増大をたどり、それにともなうコンテナ輸送船の巨大化によって、傾斜/バラスト/冷却に使用される遠心力ポンプの需要が増大している。これらのポンプには、大容量かつ正味吸込ヘッドが小さいことが求められている。

 

水力学的な特長

大容量ながらきわめて低いNPSH 3%、なおかつ経済的な運転条件を保証しつつも比較的高速度を達成するという矛盾した要求を満たすには、単一エントリインペラでは実現し得ない高い吸込速度が必要となる。

そこで、このポンプの水力学的な観点から、特別なベーン形状を有する二重エントリインペラの設計が絶対要件となってきた。

下記の要件を達成するために、水力学的な半径方向の力を大幅に減少させることが求められていた:

●ベアリング寿命の延長

●メカニカルシール寿命の延長(一層望ましいシャフトシール)

●インペラ・ウエア・リングの磨耗の削減、及びその結果としての渦形室ケーシングやケーシングカバー内の固定ウエアリングの磨耗の削減

● インペラやシャフトシールの部分でのシャフトたわみの防止

これらの要件を考慮に入れることで、渦形室には水力学的な設計が必要である、すなわち二重渦形室の必要性が明白となったのである。

渦形室に水力学的設計を採用したとしても、水力学的な半径方向の力を完全に無くすことはできないが、それを容認可能な非常に小さいレベルまで減らせることがよく知られている。

この水力学的な設計原理(二重エントリインペラと二重渦形室)はAllweiler社の舶用ポンププログラムの一里塚であるといえる。Allweiler社に舶用遠心ポンプをパッケージオーダすれば、他のメーカーから大型ポンプを追加購入する必要がなくなる可能性をも秘めているのである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION