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と他のプロジェクトメンバーは、完全なCPRデザインの完成を目指して、一致協力して作業した。

 

計画許容応力比;CPRの複合材設計は、十分確立した最新の複合材構造設計法に基づいて行われ、複合構造の応力破断寿命の予測には、繊維破断応力データの統計的解析が用いられた。この分野でE.Y.Robinsonの成果[1]は、この種の予測に対して保守的な基準として一般的に受け容れられている。Robinsonの研究では、炭素繊維とアラミド繊維と強化ガラス繊維の複合材に関する設計式や設計図表が得られており、適用する荷重と必要な耐用年数に対応する材料応力レベルの予測を与えれば、構造上の耐久性即ち信頼性)が推定出来る。また材料応力レベルの予測を与える事で平均的な応力破断寿命も予測出来る。

CPRの設計に用いられる材料許容応力値はLincoln Composites社が同等の材料で試験した結果に基づいている。このデータは周囲の環境条件を考慮に入れ、高温、高湿度で行われた試験結果をも含んでいる。得られた計画許容値はB基準値(母集団の90%が、95%の確率でその値を超える。)以下又は同等のレベルで、それは複合材料設計において一般的に用いられるものと同様である。

表2は、幾つかの設定された荷重条件に対し、CPRの複合材応力を解析した結果を示す。これは管本体と複合材/金属材境界面の両方を解析し、判り易く纏めた。一重ケーシング、二重ケーシングライザーの両方の方式について、頂部張力システムを使用した場合とそうでない場合とについて解析した。その結果から、CPRは高いレベルの信頼性と、必要な条件を十分上回る平均耐用年数を有する事が予測される。

 

複合管壁;CPR管本体は図2に示す様な複合材の組合せ構造をしており、炭素繊維とEガラス繊維が含まれたエポキシ材から成る。管はこのフィラメントを巻きつける方法で製造される。その工程では、強化繊維に加熱前のエポキシ樹脂を染み込ませ、正確な方向性と厚さを保って回転する芯枠金に貼り付ける。その複合構造が次の熱処理過程を経て剛体の構造管となる。芯枠金を抜き取った後、内外面に熱可塑性の層が取り付けられる。

複合構造の設計では定められた組合せの荷重に対し、必要な断面特性を発揮する様に適切な強化繊維が選定される。例えば圧力容器の設計では、円周方向の繊維は容器の円周あるいはリング方向の応力を、また低角度の螺旋状巻き付けは経線方向あるいは軸方向の応力を支持する様に寸法/強度が決められる。

CPRの設計において円周方向荷重の最も厳しい条件は、ライザーが全閉時抗内圧力(SIWHP)を受ける時である。この圧力(SIWHP)で必要な円周方向の炭素繊維の量は全て決まり、この炭素繊維材を管壁の内面と外面の間に均一に分布させて、外部圧力による座屈に対抗する性能が最大となる様にしている。この層がEガラス繊維と混成されて、管壁の耐損傷性や衝撃強度を上げている。

CPRの低角度螺旋状の炭素繊維層は軸方向の強度や剛性を決定する。100in2当たりの最小軸方向剛性値は、CPR横断面に占めるこの低角度炭素繊維材の横断面積で決まり、

 

 

 

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