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2.2.5 OTC8364 ALARP設定手法としての安全・環境プログラム

Safety and Environmental programs as a Mechanism for Establishing ALARP

KENNE THE ARNOLD and DENISEB.McCAFFERY/Paragor Engineering Services, Inc.

 

緒言

過去25年の間に、海洋掘削・生産活動に関係するリスクの明確化、評価及び管理の必要性の認識が高まってきている。このようなリスクには、暴噴、火災、爆発と船舶の衝突が含まれる。1988年の北海におけるPiper Alphaの事故と1989年のメキシコ湾におけるSouth Pass Block 60の事故以来、リスク管理に対する努力が大変増加してきている。北海において、取締機関は施設を合理的に実行可能な限り低い(ALARP(As Low As Reasonably Practicable))リスク水準で設計し、操業することを確保することによってリスクを管理する特別規定を設けている。ALARPを達成するために、オペレーターは、ハードウェア・システムに係わるリスクを調査するだけでなく、事故の可能性を減じ、事故の被害を軽減することへの管理システムの効果を評価することが必要である。

見かけ上、これはまさに道理のかなった概念である。確かに、余裕を持って投資することにより、人命損失リスクを本質的に減じることができるならば、我々はその追加投資を思慮深いものであると同意するであろう。我々はまた、おそらく一部の設計や操業は理論上は人命損失の高リスク(そのリスクが明らかに合理的ではないが、設計を変更しなければならないとか計画を実行に移すべきではないと思われるようなリスク)をもたらしたであろうことにも同意することができる。一方、我々はまた、あるレベルのリスクは、このリスクを減じるための代替案の分析が考えられ、評価される必要性がもはやないほど、些細であることに同意することができる。

しかしながら、理論上のアプローチに伴う問題は、実際の人命の置かれた状況に対するその概念の実行にある。ちょうど、何が正当な疑惑(Reasonable Doubt)又は物証の重要性(Preponderance of evidence)の基になっているのかについて、O.J.Simpson裁判の(えせ)陪審員や種々の法律専門家の意見がまとまらないように、何が筋の通ったリスク(Reasonable Risk)であるか、また、どんな軽減処置が実効性のある(Practicable)ものなのかということが、知見の豊富な評価する人たち(そのような人物が見つけられるならば)の間での解釈に大きな相違を導くことになる。

このため、北海での操業に関係する海洋石油・ガス産業界と取締機関は、人命損失リスクの計算を基礎とする実用的な仮説を発展させた。たいていの場合、北海海洋プラットフォームにおける人命損失リスクに対する計算された見積もりが年間10-3を超える場合には、そのリスクは明らかに不合理であると見なされ、軽減策が求められる。損失の可能性が年間10-5未満の場合には、リスクのレベルはALARPであると見なされ、もはやその分析は要求されない。リスクが年間10-3から10-5の間にあると見積もられる場合には、軽減のための費用が、人命損失リスク軽減のための金銭的計算利益に比べて高すぎること(従って、合理的に実行可能でないこと)が量的リスク評価(QRA:quantified risk assessment)によって示されない限り、その軽減策が要求

 

 

 

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