V 造船所の経営状況
(修繕船が造船所の活動の核をなす一方、新造船は停滞気味)
造船所の工事量は修繕船に集中しているが、これは多数の船舶が島と島とを結んでいること、さらに東アジア地域の海運活動が活発化している状況を反映している。修繕船能力は、国内船、外国船とも修繕需要が伸びたために、1994年に大幅に拡大した。一方、同年における国内の新造船活動は停滞した。PHILSARの報告によれば、新造船能力は94年に前年比で若干縮小した。修繕船の売上高が最高を示したのは94年で140億ペソに達し、一方新造船の売上高は93年の4億2,400万ペソがピークだった。
修繕費が比較的低いことと設備のアクセスが便利なために、外国船社数社がフィリピンの修繕ヤードを利用している。第5表に国内の修繕船事業の外国船による利用状況を示す。
より大型の外国船修繕の市場が拡大する見通しで、5,000DWT以上の船舶の受入能力のある工場は修繕収入の増加が見込まれる。大半の造船所は修繕収入の増大を期待して、設備拡大投資を行っている。
? 業界の将来展望
?-1 修繕船工事の需要上昇
修繕船市場の将来については明るい見通しがもてる。国内船、外国船とも老朽化が進み、東アジア地域の海運活動の活発とともに、修繕船工事の需要は拡大が見込まれる。さらに、フィリピン水域に来航する国際外航船の数も一層増加する。修繕船工事の需要は2000年に向けて大幅な伸びが見込まれている。