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(1)長期的な需給の安定化

 

建造需要は、世界経済の成長による海上荷動きの拡大及び1970年代半ばに建造された大量のタンカーの代替により、今後増加が見込まれるものの、2000年前後をピークに下降期に入るものと予測される。一方、世界の新造船供給能力は、韓国の大幅な設備拡張、中国等の造船市場への進出や各国の生産性の向上等により拡大傾向にある。今後建造需要を無視した造船設備の拡張がさらに行われた場合、需給バランスが崩壊し、その結果相当な過剰船舶と新進船需要の著しい低下をもたらし、再び長期の造船不況を招来するおそれがある。

我が国は、造船分野のリーダーとしての責務を十分認識し、二国間及び多国間の協議の場を活用しつつ、世界の造船国に対し共通の市場動向認識の醸成と深刻な需給不均衡を避けるための政策協調の重要性を国際的に訴えている。

 

(2)魅力ある造船業へ向けた産業基盤の整備

 

海上輸送貿易は我が国経済にとって重要なものであり、造船業は海運業とともに日本の経済活動を支える重要な役割を担っている。我が国では、造船業が存在意義のある健全な魅力ある造船業として存立していくため、以下の対策を講じ、産業基盤の整備を図っている。

 

(ア)次世代造船業の構築

我が国造船業は、最近10年間で高い生産性向上を達成した。しかしながら、在来の手法と技術では、今後も引き続き、同レベルの高い生産性の向上を実現していくのは容易ではない。このため、以下の対策を講じ、次世代の造船業の構築を進める必要がある。

? 自動化・情報技術の導入を促進し、経営全体として高度の生産性を達成できる技術力と経営体制の確立を目指す。

? 生産の集中化、建造する船種・船型の専門化等を進め、比較的小規模な生産拠点が散在している現在の生産体制の適正化を図る。

? 経営資源の一層の有効活用を図るための事業提携の推進を図る。

(イ)研究基盤の強化

多様化する社会ニーズへの的確な対応を図るための創造的技術ポテンシャルの向上を図る。

 

 

 

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