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1998年に予定されている造船業界の現状検討では、国際競争力の短期的、長期的強化を目指す戦略が課題となるはずである。検討委員会はその結論を1998年6月30日までに産業科学観光大臣に報告することになっている。

艦艇の建造、保守管理の国内自給率向上を指向する国防政策により、技術的に高度な船舶を建造するオーストラリアの造船業の能力は増強される方向にある。1990年代にはオーストラリア海軍からの潜水艦、フリゲート艦、掃海艇の受注により、国内艦艇建造業の規模と能力が拡大した。

オーストラリア造船業の人件費は、中国や韓国より高いものの、ドイツ、日本、米国よりは低い。労働者の熟練度は高い。

艦艇の国内建造のコスト高は、最近の艦艇調達計画に伴って、しだいに低下している。これらの計画では、資機材の国内調達率が高い。

ファイナンス面での競争力は、資本調達の観点からも、また買い手にとって魅力的な支払条件を提示する観点からも、船舶輸出にとって死活的な要素である。オーストラリア輸出金融保険委員会(EFIC)は、船舶輸出信用に関するOECD了解に合致した直接融資により、オーストラリアの造船産業を支援している。EFICはまた、造船事業者のニーズに対応するための、補完的金融の機会も求めている。

90年代中は世界の商船建造市場が引き続き拡大するという予測からして、オーストラリアの造船事業者は、短期的にも長期的にも、高速フェリー、哨戒艇、漁船、その他の小型船などの分野における強みを生かした船舶を供給する機会を求めて行くにちがいない。オーストラリアで大型船の建造が復活する見込みは薄い。

地域的展望で見れば、オーストラリアで建造されているような種類の艦艇に対する関心は強い。また高速輸送の市場が拡大すると共に、オーストラリアの造船業は世界の高速フェリー市場におけるシェアを高めている。

高速貨物船の未来は、在来型の海上輸送と航空貨物輸送との間にニッチ市場を開拓できるか否かに大きくかかっている。高付加価値商品のメーカー、生鮮食料品を求める消費者の高速輸送ニーズの一部は、船舶で対応できるはずである。

この種の船舶の船型と船倉配置の変更、重量車両など、特定の貨物に特化した船型の開発、独占航路向けでは運航簡素化のための措置、船速の向上などに新展開の可能性がある。オーストラリアの設計技術陣は、これらの分野における技術開発で最先端を行っている。

オーストラリア造船業の競争力からして、その製品の輸出については見通しが明るい。オーストラリアの造船事業者は、特に軽量船舶部門など、ニッチ市場に大きなシェアを確立している。海運事業者の課題に適切に対応できる、設計・施工ともにすぐれた、競争力の高い船舶について、この国の造船業の能力には定評がある。一般貨物輸送のほかにも旅客輸送、車両輸送向けの高速船の販売が伸ていることから、オーストラリア造船業の展望は明るい。

 

 

 

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