第5章
船舶安全法
第5章 船舶安全法
1.船舶安全法の概要
船舶安全法は,船舶の安全性について主として施設面から規定した法律であり,我が国の船舶を航行の用に供するための条件として,当該船舶が,その堪航性(船舶が航行上,通常生ずることのある危険に堪え,安全に航行できる性能)及び人命の安全を確保するために必要な船体,機関,設備等に関する技術上の基準に適合するように施設することを求めている。
また,船舶安全法は,船舶が技術上の基準に適合していることを確認するため船舶所有者(長さ30m以上の船舶の製造時には製造者)に対し,一定の時期及び必要な場合には臨時に管海官庁の行う船舶検査を受けることを求めている。
なお,現在の船舶の定期検査の基本的枠組みは昭和38年に定められたものであり,以降,船舶に係る技術進歩,運航に係る状況変化,船舶の構造・設備に関する国際的規制の動向等船舶検査を取り巻く状況が大きく変化したことから,平成9年7月1日付で船舶安全法が改正され,船舶安全法の改正の施行日以前に建造された船舶については,改正の施行日後に最初に受検する定期検査以降の全ての船舶検査,同日以降に建造される船舶についてはその全ての船舶検査に関して改正規定の適用を受けることとなる。(船舶安全法の改正の概要については,3.を参照。)
現在有効な船舶安全法の体系と関係規則一覧表を5・1表及び5・2表に示す。
1.1 検査の種類
1) 強制検査(5・1図)参照
(1) 定期検査
初めて航行の用に供する時,または船舶の大きさ,航行区域内等に応じて4年又は6年と定められている船舶検査証書の有効期間の満了した時に船舶の船体,機関,設備等の全般について行う精密な検査である。
(2) 中間検査
定期検査と定期検査の中間において,船舶検査証書の残存有効期間内の安全性を担保するため船舶の船体,機関,設備等の全般について行う簡易な検査であって第1種中間検査と第2種中間検査の2種類がある。
第1種 特殊船及び総トン数5トン以上の旅客船は定期検査から1年毎,その他の船舶は2年又は3年毎に行われる。
第2種 主に国際航海に従事する船舶の場合に受けるもので定期,又は中間検査から1年毎に行われる。
(3) 臨時検査
定期検査又は中間検査以外の時期に船舶の構造,設備,無線設備等の改造若しくは修理を行う時又は満載喫水線の位置その他船舶検査証書に記載された条件の変更を受