(2)空気の混入
燃料タンクから,フィードポンプまでの間は,大気圧以下になり,燃料を吸入している。この間に微細な燃料油もれがあると,空気を少しづつ吸入して,回転不整となり,やがてはプランジャによる噴射圧力が得られなくなり,停止する。
配管途中の燃料油もれは完全に修理しなければならない。
噴射ポンプの余剰油戻しパイプは,通常,フイードポンプの入ロヘ接続しているが,フイードポンプの吐出量低下や噴射量増大した場合は,余剰油の戻り量が極端に減少してくる。この時にフイードポンプのサクションカにより,本来プランジャーで圧送すべき燃料がフイードポンプヘ,若千吸い戻されて回転不整を生じることがある。
特にPme(正味平均有効圧力)を上げた高性能高過給形機関に,この傾向が生じ易く, フイードポンプの吐出量を増すか,余剰油戻しパイプを燃料タンクヘ接続しなければならない。
(3)噴射不良
a)噴射圧力の低下
噴射圧力が10 kg/cm2以上低下すると,噴霧不良となり,燃焼が悪化する。この傾向は多孔式ノズルに特に顕著に表われ,各シリンダ間に燃焼のバラツキを生じて,不整回転を起こす。減筒テストを行なって不良シリンダを探がし,噴射圧力を修正する。
b)噴霧不良
ノズル不良や送出弁の不良により,噴霧が悪化して各シリンダ間に,燃焼のバラツキを生じると回転不整となる。この傾向は前項同様に,直接噴射式に用いられる多孔式ノズルで発生し易いので,定期的にノズルの点検をしなければならない。
噴霧不良は前項同様に減筒テストにより,不良シリンダを探がして,修理する。
(4)噴射ポンプ不良
a)シリンダ間の噴射タイミング狂い.
燃料カム山及びタベットが摩耗すると,シリンダ間のタイミングが大巾に狂い不整回転を生じ易くなる。
ユニットポンプの場合は,ある程度の範囲内で,それぞれのシリンダ毎にタイミングを調整して修正できるが,列形ポンプに於ては,ポンプテストスタンド上で修正しなければならない。いずれにしても摩耗量が0.5 mm以上の場合は,カム山表面の焼入れ硬化層が殆ど失われているため,カム軸を交換しなければならない。
b)シリンダ間の噴射量不均等
プランジャの摩耗,膠着,バネ折損のほか送出弁や送出弁バネ折損を生じた場合は,各シリンダ間の噴射量に大きな差果を生じて,不整回転を起こす。
減筒テストにより,不良シリンダを探がして修理しなければならない。