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従来タイプの添加剤では不十分であった。このため,ピストンリング溝の堆積物や清浄機の固形堆積物の増加,フィルタの詰まりが発生し,また潤滑油の消費が増大する等の問題が発生した。この対策として,従来のフィネート,スルフォネート系の添加剤からサリシレート系の添加剤への変更が提案された。サリシレート系の潤滑油は石油メーカ各社によりその配合や種類が異なるが,いずれも酸化防止性,熱安定性を高め,高温における耐コーキング性や清浄性を高めたものであり,これらの潤滑油の使用により問題はかなり解決できた。

なお,従来タイプの潤滑油からサリシレート系潤滑油に更油する場合は,ピストン抜き等を行い,出来る限り機関内部,潤滑油配管や潤滑油タンクをきれいに掃除しフラッシングを充分行うこと。サリシレート系潤滑油の高い清浄性により,スラッジが洗い出されてフィルタの目詰まりを起こすことがある。また,遠心式清浄機の設置が望まれる。

 

3. 冷却水

3.1 水質に関する障害

冷却水の水質の良否によってディーゼル機関に及ぼす障害としては,主にスケールによるものと,腐食によるものがある。冷却水の水質と障害の関係を4・5表に示す。

3.2 冷却水添加剤

ディーゼル機関のジャケット部には,一般的に電気化学的な腐食,キャビテーションが発生するが,これらは,冷却水中に添加剤を投入し,金属表面に安定した保護被膜を作ることにより防止できる。この添加剤には用途により,インヒビターとロングライフクーラントの2種類がある。

1)インヒビタ

防食,防錆を目的とし,束結防止効果のない冷却水添加剤よく使用される添加剤の種類について一般的な特徴や諸注意を下記する。

(1)亜硝酸塩系

従来より多くの製品が市販されているが,一般にそのままでは総理府令の排水基準(CODの項目)に合致しない場合が多く,ジ亜塩素酸ソーダ等で酸化した後投棄しなければならない。従って,こうした処理が不都合な場合には使用できない。

また,亜硝酸粉末は消防法上の危険物に指定されているため,指定数量以上の保管には届出が,また,危険物の取扱い者は免許が必要となる。具体的な数量は各銘柄の注記を参照のこと。

(2)リン酸塩系インヒビタ

投棄上の問題はないが,使用する水はアリカリ性であることが要求されるため使用範囲が制限される。

防食性能としてはアルミニウムに対する効果は少ない。

 

 

 

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