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座面やネジ部の摩擦に関係なくボルトの伸びが決まるので,締付け力のバラツキが少なくなる。

さらに,塑性域・回転角度法によって回転角(ボルトの伸び)に鈍感な範囲まで締め付ける方法も採用されてきている(連接棒ボルトのみ)。

 

3)ピストン,ピストンリング,ピストンピン

ピストンは燃焼室の一部を構成するため,熱負荷と高い燃焼圧を受ける運動部品であり,燃焼圧を連接棒を介してクランク軸に伝えるとともに,シリンダ内を往復しながら,燃焼ガスをシールする機能を有している。

したがって,高温度,高い熱応力や機械的な応力潤滑不良などによって,燃焼面,リング満,ピストンピンボスの亀裂,燃焼面の焼損,リングスティック, ピストン摺動面の焼付きなどの不具合発生の可能性がある。

これらの不具合は,ピストンの冷却不良,燃焼不良(異常燃焼),ブローバイ(ガス漏れ)の増加,潤滑油の劣化によることが多く,整備にあたってこれらを考慮した充分なチェックが必要である。

(1)点検および整備

3・7表 ピストン,ピストンリング,ピストンピンの点検,整備による。

(2)ピストン燃焼面の異常

ピストンの不具合に焼付きや燃焼面の亀裂があるが,その原因はピストンの冷却不足であることが多い。整備に際しては,ピストン冷却用ジェット,ピストンの冷却ギャラリ出入口のチェックに留意する。

燃焼面の亀裂については,冷却面へのカーボン堆積による冷却不足から起きる亀裂の他に異常燃焼によるものがあり,燃料油によっては異常燃焼を起こすものがあり,アルミピストンでは燃焼面がえぐられることもある。こうした場合は,燃料噴射状況(噴射時期,噴射圧,噴霧の状況)をチェックするとともに使用燃料油の分析を行う必要がある。

 

 

 

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