《ま と め》
東南アジアの料理(食材と味覚)を考えるとき忘れてはならないのは、東南アジア以外の国の影響で、中でも一番大きいのは中国である。
東南アジアにも、広東料理、北京料理といった本格的な中華料理(薬膳料理)がすっかり国の人々の日常にとけ込んで、定着してしまっている。
ミャンマーの料理屋では中華料理であるが少しかえているのは、醤油の変わりに、生唐辛子の入ったナムプラーやマナオが添えられていたりという違いがある。
東南アジアにいる中国系の人々の数は、1700万人とも2000万人ともいわれている。
ミャンマーには、中国人はもともと少なく、かつてイギリスの植民地時代に多くのインド人が農業労働者、商人などとして移住してきたインド人経営の飲食店も、中国人の店と同じようにインド料理が人々に広く受け入れられている。
このように、外から入ってきたものを自分達流にかえてとりいれる、あるいは持ち込む側がその地の嗜好に歩みよるという歴史の中で作りだされた味もまた、東南アジア料理のひとつの特徴である。