平成9年度
国際理解のためのアジア文化講座「東南アジア」
(11)「多様な食材と味覚」
日時:12月22日(月) 13:30〜15:30
場所:きゅりあん(品川区民総合会館) 6階大会議室
星野 厚子 戸板女子短期大学助教授
《は じ め に》
1. 東南アジアの国々
ベトナム,ラオス,カンボジア,タイ,ミャンマー,マレーシア,シンガポール,フィリピン,ブルネイ,インドネシアの10ヵ国
2. 東南アジアの食の背景
?@ 豊かな食卓である。
?A 非常に多様性に満ちた食文化圏である。
a 宗教
・仏教(大乗仏教国,上座部仏教)→ベトナムは大乗仏教国,他は上座部仏教
・イスラム教→マレーシア・島嶼部
・ヒンドゥー教→インド系の人々
・キリスト教→フィリピンや多数派の国
・道教・儒教(厳密には宗教ではない)→華僑
b 民族
・ベトナム,タイ,マレーシアのように多数派は1つの民族であるところでも、必ず少数民族かいる。
・インドネシア,フィリピンなどはもっと沢山の少数民族がいる。ややこしい多様な民族、宗教から多様な食の文化が存在している。だからおもしろしし、美味しい。
c 宗教と食との関わり合い
・ヒンドゥー教→インドの影響
・キリスト教→ヨーロッパの文化の影響
・イスラム教→アラビア・イラン・インドの影響
・道教・儒教→中国の影響
*ミャンマーの僧侶の食事はスパイスたっぷりのカレー汁を中華風の麺にかけて食べる
*タイの国の僧侶たちの托鉢であつまった料理をみると数10種類もの料理が並びバリエーションが豊である
d 食べ方
食べ方にも多様性が見られる。手・箸・スプーンとフォークでたべるのと様々。
・ミャンマーは基本的には手でたべる世界、場合によっては、スプーンで食べる。
・インドネシア・マレーシア・ラオス・フィリピンなど同じである。
インドネシア・フィリピンではラーメンのようなスープ麺などの場合はフォークとスプーンがでてくる。
・マレーシアは、スプーンで料理をとりわけ、手で食べる
・ベトナム人は箸、他の民族も料理によっては箸を使う。中国式の少し長めのもの。
・カンボジアではスプーンとフォークを使う食べ方もかなり広まっている。
・タイは最近ではスプーンとフォークが使われている。
e 外食産業
ベトナム→外食産業の主役は現在でも屋台,屋台は路上だけでなく水上マーケット、船の屋台も数多く集まる。運河も路である
夕イ→外食産業が隆盛,都市部では自宅で料理するより総菜の屋台で買うのが一般的である。台所のない家もある。これは大家族で生活しているため家で作るより屋台で食べる方が安上がりであるから。