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(双系)社会と、硬構造をもった漢民族の大陸的単系(父系)社会の構造の類似点と、相違点について、説明しておこう。

そこで、日本列島と中国大陸における親族組織の相違を、際立たせるために、両者の基本的な第二次集団である同族と宗族(氏族)を比較してみよう。

まず、その特徴が、多岐にわたり、しかも明確な、漢民族の宗族の特徴について、紹介することにしよう。(シュー、1971年、前掲書、64ページ参照)

すなわち、その特徴は、左記の15項目に要約されるという。

?@ 名称の共有

?A 外婚制度(同姓の者と結婚できない)

?B 単系の共通祖先

?C 父系制度(男性の長老が、社会的核になる)

?D すべての、あるいは大多数のメンバーが、たがいに話しかけたり、指さしたりするために、親族名称を用いる

?E ある種の共有財産をもつ

?F ある程度の連帯責任

?G 父方住居

?H 妻が婚姻に基づいて、その配偶者の宗族の成員に、自動的になること

?I 宗族による教育や公共福祉に対する補助

?J 共通の祖先に対する崇拝儀礼

?K 宗族の祖廟

?L 宗族の墓地

?M 成員の行動規則の制定

?N 宗族内の争いごとなどを裁き、紛争をとり静める長老会議

こうした漢民族の諸特徴と、日本列島、とりわけ本州東北郡で発達した同族とを比較してみよう。

まず、宗族と同族の共通点であるが、諸特徴の?@名称、?Dすべての、あるいは大多数のメンバーが、たがいに話しかけたり、指さしたりするために、親族名称を用いる、?Fある程度の連帯責任、?J共通の祖先に対する崇拝儀礼、?N争いごとなどを裁き、紛争をとり静める長老会議、など、両者の共通点は、三分の一に過ぎない。しかも、同族と宗族の共通点は、大部分が文化的側面、すなわち行動面に限られていて、構造には及んでいないことが目につく。すなわち、日本列島のシステムは、中国大陸のシステムよりも、単純であり、運用の方法は、規則的というよりは、習

 

 

 

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