には祭の様子を撮影しているものや、身近な商店や駅等を撮影しているものもある。
・高校生〜30代(8組)
ほとんどが伊吹文、旧松浦邸、まちなみ等柏原の観光ポイントを撮影している。
・40〜59才〈4組)
祭のにぎわいを中心に撮影したり、また観光ポイントの近景など、人により撮影の対象は様々である。
・60歳以上(2組)
にぎわいなど人を撮影する傾向がある。
・その他(不明等:9組)
?考察
年齢層、あるいは居住地ごとによる被写体の違いは、おおよその傾向はあるものの、大差は見られない。撮影されたものは、ほとんどが祭の拠点から近いところであった。また、山東町、山東町教育委員会で配布されている「柏原ガイドマップ」に掲載されている観光ポイント12ヶ所の内、撮影されているものは伊吹艾本舗(亀屋)、常夜燈、成菩提院のみである。様々な観光ポイントがある柏原ではあるが、撮影枚数が1人あたり3枚となると、観光ポイントのベスト3が撮影されているものと推察できる。
「柏原―自然との良好な関係」
滋賀県立大学環境科学部 籠谷泰行
柏原を初めて訪れたときの印象は、「特に何もないな」ということだった。いや、というより、特に何も意識せず、ただぼんやり気楽に歩いたというのが正確なところだったかもしれない。そして、その後あらためて訪れたときにも、その印象は変わらなかった。
この「特に何もない」とか「何も意識せず」というところに、実は柏原のよさというものが表れているように思う。それはすなわち「自然との良好な関係」ということである。柏原とその周辺を見渡したとき、「手つかずの自然」とか、珍しい生き物とか、息をのむような自然景観とかいった、とくに保護すべき自然物というものはない。柏原の景観は、街道沿いに町並みがあって、その周りを広やかに水田や畑が囲み、その奥に緩やかな山並みが続いているというように、とてもやさしい感じのものになっている。それはつまり、見える範囲内の自然のどこにも人の手が何らかかかっているということであり、そしてそれが荒れたように見えないのは、その自然と人との関わり合いが良好に保たれているということを示しているのだ。
私たちの生活は、かならず自然との関係の中で成り立つものだが、にもかかわらず現代においてはその自然との関係を良好に保つことがすごく難しい状況になっている。それは結局、私たちが現代人としての生活を成り立たせようとするときに、自然との関係を良好に保ったままそれを実現することが困難だという意味である。だから現代において、自然破壊が進み、また町並みや景観が醜悪になっていくのだ。そうした中で、人と自然との良好な関係が存在していることを景観として示している柏原は美しいと思う。こういう景観、すなわちこういう人々の生活と自然との良好な関係を大事こしながら、今後の町づくりを行なっていってほしい。