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はじめに

 

滋賀県の東部、米原から関ヶ原へ抜ける積雪地帯に山東町柏原があります。幾多の戦乱の時代を経て、中山道の近江への入口、江戸日本橋から60番目の宿にあたります。東海道新幹線が開通して以来、交通の通過点となっていますが、車窓から見る風景は緑やまちなみがひっそりとたたずみ、旅行者の心をなごませてくれます。往時は、本陣、脇本陣を擁し、旅籠が立ち並び、名物の伊吹もぐさの店が軒を並べ、隆盛を極めた宿場でした。

柏原宿の歴史的まちなみは、周りの豊かな自然環境に育まれ、ゆるやかなカーブと高低差をもち、泉水がそこここに湧きでる「中山道」らしいたたずまいをもつ貴重なまちなみです。古い家屋が更新していく中で、伝統的建て方が踏襲され、いわゆる現代風建物が非常に少ないことも特徴になっています。今、柏原宿は地元に「まちづくりの会」も発足し、2年前から自主的イベントの「やいと祭」にとりくむなど、地元主体のまちづくりが進められようとしています。

本調査では地元、行政、専門家が一体となって調査団を編成し、数度のワークショップを行う中で、柏原宿のまちなみ総合調査を行い、皆の手による保全と活用の提言を行っています。この調査が契機となり、山東町のまちづくりと連動して、柏原宿の保全、整備、活用が進んでいくことを期待しています。

調査にあたりましては、ワークショップメンバーとして参加された地元の皆さん、柏原小学校の児童たち、調査委員の先生方、山東町役場その他の関係者の皆さんに大変お世話になりました。記してお礼を申しあげます。

 

平成10年3月

社団法人日本観光協会

 

 

 

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