豊山、月山など亜高山が多い。それが置賜地方では高度の低い山地にも下って来ている。今回それらしきものを見つけたのは鷹待場左古墳稜線1ヶ所である。ミズナラ、ヨナラと混成しているが、葉柄が極めて短く、形はミズナラ形だが小型で厚く、業の裏は粉白を帯びる。付近のミズナラ、コナラの葉とも比較したが、間違いないものと思われる。
? タテヤマハギ(マメ科)
この地方の低山に多いのはミヤマハギ、マルバハギなどであるが、米沢市の斜平山背(なでらさんばい)にはケハギが自生し、眺山丘陵の山麓一帯には、やや小型のタテヤマハギが非常に多い。同じものが小国の片洞門にもあるから、眺山丘陵から西の方に分布していると見える。ケハギは茎葉の細毛が開出するが毛が伏しているものをタテヤマハギと名付けている。本種も眺山丘陵の名物としたい。
4) 湿地湿原の植生
前述古赤色土と称する土壌は風化によって微粒子となり水を含むと不浸透層をつくる。
このような地層が谷間を埋めると、そこに藻類や蘇苔類が侵入し、遺骸を蓄積する。更にミズゴケ類が侵入すると、他の植物も次次に侵入して長い間に泥炭層を形成してゆく。
古墳山周辺の湿地湿原もこのように形成されたものであろう。ところが湿原周辺の山林が伐採されたりすると、水分が不足して乾燥湿原に変貌し、植生も単純な形に変化してゆく。今回の調査では、湿原の多くがこのような傾向に進んでいること確認した。水が豊富であれば泥炭層の上にミズゴケが繁茂しそこにオオイヌノハナヒゲ、ヒメイヌノハナヒゲ、ミズトンボ、ミカズキグサ、ヌマガヤなどが生え、泥炭層が裸出したところには、モウセンゴケ、ミミカキグサ、ムラサキミミカキグサ、キザキミミカキグサなどが見られる。湿地にはサワギキョウ、サワヒヨドリ、イオウソウ、ミソハギなどが生えている。湿原の諸処に小高く樹林が島のように繁っているが、樹種はイソノキ、クロウメモドキ、ヤマウルシ、ミヤマウメモドキ、サワフタギ などである。また山麓の湿地になると ハンノキが頭上におほい、その下 ヨン、カサスゲ、アイバソウ、ガマ、ミゾソバ、アギナシ、などが自生が見られる。