たものか、自然林状態になっているのは大きな特徴である。また積雪期間が長いことが影響し、深山性のオオイワカガミ、ミヤマナラ、オオコメツツジ、ニッコウキスゲ、ヒメサユリなどが多住し、日本海側要素であるタムシバ、ヒメアオキ、エゾユズリハ、ホナガクマヤナギ、オオバクロモジ、マルバマンサク、キバナイカリソウ、コシノハナヒリノキなどが数多く自生している。その他関東以北に普通に分布するコシアブラ、マルウルシ、ヤマツツジ、ナナカマド、ウワミズザクラ、ホウノキ、コバノトネリコ、ミヤマガマズミ、リョウブなども数多く見られる。更に現在環境庁レッドデーターブック 山形県植生調査会の稀生植物リストに載った、キキョウ、ヒメサユリ、オケラ、オミナエシ、ネズなどが産することも特筆すべきことである。
3) 特筆すべき植物
? オオイワカガミ(イワウメ科)
本種は小形の多年草で高山性のイワカガミの変種で全体が大型で葉の巾の長さも8〜12cmに達する。沖縄を除く全国各地に産するとはいえ、数量は少なく暖地では深山に稀に産する。山形県では比較的低い山に自生し、内陸地方に多く分布する。眺山丘陵一帯は山形一の群生地である。殊に小森山並びに鷹待場付近は群生地が多く、殊に小森山では円墳上にも群生し、全国にまたとない景観を呈している。珍種白花オオイワカガミもあるといわれる。開花期に確認したい。
? ヒメサユリ(ユリ科)
日本特産の最も可憐なユリと名声を馳せた芳香性のユリである。わが国の特産地は、山形、福島、新潟の3県である。山形県の場合は中部以南の地域に分布し、置賜地方は最も多産地である。殊に眺山丘陵は多産地でかつて諸処に群生地が見られたが、濫採や環境の変化で激減した。日当たりを好み樹林が繁茂すると繁殖を妨げる。古墳付近にも自生が見られる。オオイワカガミとともに古墳を飾る植物として保護策を講じたい。
? オケラ(キク科)
語源はウケラが訛ってオケラになったといわれる。ウケラの意味は判らず、昆虫のオケラとも無縁である。地味な植物ながら秋には桃色の風雅な花が咲き、春先きの萌芽は摘まれて、山菜として利用される多年草である。かつて本州、九州の丘陵や低山に多く自生していたが、現在は環境の変化によって激減したアカマツを交えた明るい雑木林に多い眺山丘陵は多生地の一つである。
? オミナエシ(オミナエシ科)
秋の七草として知られ、全国に広く分布していた多年草も、現在は自然環境の変化でその自生地は激減した。山形県の植生調査会でも稀少植物リストに載せ、自生地の調査を行っているが、現物は減少するばかりである。古墳群周辺では湿地上部の雑木林との接点近くに多く自生しており、県下でも多生地の一つであろう。