ンジンを開発しました。これによって従来のガソリンを気化して送り込む方式に比べて燃費が30%近くダウンするとも言われております。燃費の低下は、環境保全に大きくプラスになることはいうまでもございません。この直接噴射方式というのは、実は第2次世界大戦中、ドイツのベンツというメーカーが航空機エンジンについて導入し、実用化してきたシステムであります。
しかし、このシステムは、極めて効率の良い燃焼方式であることが確認されながら、発進や停止を繰り返すという自動車の使用条件に適合しないため、見送られて来たものですが、コンピューターを利用することによって問題点をクリアし、自動車エンジンとして見事に実用化に成功したのであります。
このように日本の製造業は第1次石油ショック以後、急速に質の向上に向かって努力しました。すなわち安かろうは悪かろうではありません。今や高かろうはよかろうというイメージで日本の工業製品が見られるようになったその背景には、こうした積極的な技術革新への取り組みがあったからです。
これから交通運輸の分野においても、次々に新しい技術を開発し、これを導入していくのは、何といっても製造業の役割であります。こうして開発された省エネルギー性能のすぐれた、すなわち環境保全の力を持った新しい製品をどのようにうまく、効率的に使っていくかが、これからの非製造業として、運輸業の輸送業の役割であるといってよいでしょう。こうした役割を達成するために必要なことは何か、第一に徹底した国際競争に耐えるということであります。
日本の輸送業は、率直に申し上げて、これまで長年の間、免許制というある意味では保護のもとに置かれてまいりました。これは、かつてはそれなりの役割を演じ、またそれなりの十分の成果が上がったシステムであると考えております。しかし、今日の事態を迎えるに当たって、すなわち世界全体にわたってこれからは、グローバルマーケットにどの国も積極的に参入していくという路線を選ぶしかありません。それを選ぶとしたら、そこで生ずるのは徹底的な競争であります。コストの切り下げに対する積極的な取り組みに、どの国の輸送業も全力を挙げて取り組まなければいけないだけでなく、その取り組みに若干でも劣るところがあるとすれば、それは即座に競争に敗れて経済界から倒産という形の自然淘汰の対象になるということであります。
それはまた、こうした積極的な前向きの努力を展開しませんと、それこそ輸送業におけ