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第1章 調査の概要

 

1.調査の目的

 

運輸部門における地球環境問題は、CO2等排出による地球温暖化問題が大きなウェイトを占めている。CO2等排出による地球温暖化の影響は、これまでの公害問題とは異なり、その影響が主として将来において生ずること、発生源と被害との間に直接的な因果関係を見いだすことが困難であること、国レベル、地球レベルでの対策が必要であること等の特異性があり、これまでの公害対策の柱となってきた直接的規制の手法(汚染物質の排出基準の遵守を法的に義務付ける手法)に加え、効率的かつ効果的な手法として、経済的施策についても検討していくことが必要である。

環境対策として経済的施策を導入することについては、OECDでも環境税等の経済的施策の導入を提唱しており、そのーつである炭素税については、すでに北欧諸国やオランダで導入されている。

4月に運輸省の運輸政策審議会総合部会において取りまとめられた「運輸部門における地球温暖化問題への対応方策」では、炭素税については、「炭素税の種々なメリットに照らし、十分検討に値するが、種々の問題提起がなされ、目下議論の過程であり、今後地球温暖化問題についての国民の意識確立を図りつつ、国民的な議論の進展を期待する。」とされたが、それに加え、経済的施策の導入の先行的な試みとして「CO2削減の必要性に理解を示し、新たな経済的施策の導入に賛意を示す自動車ユーザーから任意で拠出金を募り、基金を設立して低燃費車を購入するユーザーに購入資金のー部として還元する等の環境にやさしい交通体系の形成に資する諸施策に投入する仕組みを作ること。」が提唱された。

本調査は、運輸部門における民間主導の地球環境対策のーつとしてのボランタリー基金の設立に向けて、自動車ユーザーの地球環境問題への意識を調査すると同時に、ボランタリー基金の設立のような先行的取り組み等に対する意識調査を実施し、その成立可能性及び実施のための諸条件の整備について検討を行うものである。

 

 

 

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