運輸省運輸政策局消費者行政課長
大口 清一
このセミナーを迎えました本日、私は非常に感慨深いものがございます。お高い席からでございますけれども、一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
人が自らの選択で移動できるということは、大変大事なことではないかと常々感じているところでございます。と申しますのも、私自身のことを考えたときにも、私自身が行きたいところに行ける、ごく当たり前のことですが、それが実現できるかできないかは、まさにその移動手段に係わっていると言っても過言ではございません。
いま理事長のお話の中にもございましたように、2015年には4人に1人が65歳以上ということで、私もひょっとしたらその中に入っているのではないかと思っております。今日のセミナーについて感慨深いと申し上げたのは、実はそういう個人的な感慨も含めまして、今日のこのセミナーに臨んでいるからでございます。
言うまでもなく、だれもが移動できるということ、これがまさに私ども運輸省の一つの政策目標であります。私も実は毎朝・毎夕バスを利用する1人でございます。その毎日の光景の中でいつも感じることは、お年寄りあるいは移動がなかなか難しい方々が乗り降りに対して非常にご苦労されているというところでございます。周りの乗客のさまざまな気遣いもありますけれども、ご自分でお乗りになることができないような場合も多々見受けております。そんなことから、私もこのノンステップバスが日本全国に普及してくれればいいなと心から願っている1人でございます。
ご承知かどうかわかりませんけれども、運輸省は実は昨年の12月に今までのいわゆる許認可官庁から脱皮して、規制緩和を原則的にやっていこうということで、現在、いわゆる運輸ビッグバンに取り組んでいる状況でございます。まさに運輸ビッグバン、規制緩和に当たりまして大事なのは利用者の視点に立った配慮だと思っております。規制緩和は進むけれども利用者の視点に立った行政がなくなってしまったら、元も子もない話だと考えております。
そんなことから、今日のセミナーには私も含めまして運輸省の職員も参上しております。大いにこのノンステップバスを勉強し、今後の行政の中でサポートしていきたいと念じているところでございます。
今日はこのノンステップバスを含めまして、常々こうした移動に関してお話あるいはご研究をされている秋山先生あるいは鎌田先生、さらにはメーカーの方々、そしてまた自治体でこうした問題に取り組み、先駆的な実験を、あるいは実行を行っている方々のお話も伺えると聞いておりますので、大変楽しみにしております。
最後になりますけれども、交通エコロジー・モビリティ財団は私どもとしてもなかなかいい事業をやっている団体だと考えております。今後とも皆様方のご支援を頂戴しながら、この交通エコロジー・モビリティ財団の事業を大いに盛り上げていきたいと念じているところでございます。
今日のセミナーの一層の盛り上がりを祈念しまして、簡単にご挨拶を申し上げた次第でございます。ありがとうございました。