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は じ め に

 

本講演録は、平成9年11月17日に開催された「乗り降りらくらくバス普及セミナー」の講演内容を取り纏めたものである。

現在、我が国では、高齢化および障害者の自立と社会参加の進展に伴い、これらの移動制約者を含む全ての人々が快適に利用出来る、交通システムの整備が、重要かつ緊急の課題となっている。

こうした中、最も身近な公共交通機関の一つである路線バスについても、このような移動制約者に対する利便性の向上を図って、一部にリフト付きバスやスロープ板付き低床バス等が投入されてきた。当財団でも、平成6年の設立以来、微力ながら、これらのバス導入に対して助成を行ってきた。

そして、平成9年3月、我が国で初めて路線バスにノンステップバスが導入された。このノンステップバスは、車いす利用者のみならず、高齢者を始めとするその他の移動制約者、更には、健常者にとっても利用しやすく、従来のリフト付きバスのように、車いす利用者だけのための設備ではない、いわゆるユニバーサルデザインであるため、より多くの人々の利用促進に寄与するバスとして大きな期待が寄せられている。

ヨーロッパでは、10年程前からその導入が始まり、今では約7〜8割の普及率と言われている一方、我が国では、漸く導入が始まったばかりであり、利用者はもとより、バス事業者にとっても、その情報は少なく、利便性についても充分には理解されてはいないように思われる状況を踏まえ、当財団では、関係者と共に、ノンステップバスに対する認識を深めようと、上記セミナーを企画した。

セミナーでは、関係各方面から強い関心が示され、相応に初期の目的を達したものと思われる。

セミナーの開催にあたっては、運輸省・日本財団を始めとする関係各方面の方々の多大なるご協力を頂いた。ここに改めて厚く感謝の意を表する次第である。

これを機に、ノンステップバスに関する認識が少しでも深まり、その普及促進の一助となると共に、バス事業の活性化に些かなりとも役に立てば、幸甚である。

平成10年3月

交通エコロジー・モビリティ財団

会長 八十島 義之助

 

当財団は、財団法人交通アメニティー推進機構として、平成6年9月30日設立以来、高齢者・障害者の移動円滑化に係る諸事業を展開して参りましたが、運輸部門の地球環境問題等に係る事業を追加し、平成9年12月10日、新名称「交通エコロジー・モビリティ財団」として、新たなスタートを切りました。

本報告書は、セミナー開催時の名称に関わりなく、当財団の名称は全て新名称を使用しております。

 

 

 

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