その次は、 都市の問題を考えてみます。 今、 多くの都市というのは、 ここの福岡は、 例外的ですけれども、 多くの地方都市というのは、 中心市街地が没落してる訳です。 中心市街地の沈没がどうして生じたかと申しますと、 商業の中心核の郊外移転が関係しています。 ほとんどの都市で、 郊外に大きなショッピングセンターが出来るわけです。 マイカーで皆喜んで日曜日になるとそこへ買い物へ行く。 そうすると、 今までの中心の商店街が歯の抜けたようになる。 既存の中心市街地は駐車場がないということもありますけれども、 歯の抜けたような、 虫食いになって、 さらに経営者の爺さん婆さんが年取ってって、 衰退していく。 それによって地価も下がる。 そして、 中心市街地全体が地盤沈下するという現象が起きるわけです。 私は通産省の大規模小売店舗審議会の委員を八年していましたが、 大型店の出店をどうやって認めるかと申しますと、 基準が四つございまして、 一つは売場面積。 中小商店に影響があるかないか。 大きすぎる売り場だったら小さく削る。 第二が閉店時刻を何時にするか。 三番目が年間の営業、 休日数ですね。 四番目が開店日をいつにするか。 その四つなんです。 その四つについてだけ調整する。 そしてこの四つに影響があれば、 郊外に大きなショッピングセンターができのを止めたり規模を小さくすることになってるんですが、 実はそこに抜けているものが随分ある訳です。
例えば交通渋滞による損だとか、 あるいはの発生だとか、 環境悪化だとか。 こういう指標というのは審査の対象にならない訳です。 調整項目になってないというようなことで郊外に非常に大きな商業施設が出来て、 今まである、 かつて栄え、 今でもある程度の機能を果たしていた中心商店街が捨てられていく。 これはある意味ではロスですよね。 そういうことを含めて都市の生活、 あるいは我々の生活を新しい指標でもって考えていく必要があるのではないか、 見直しをする必要があるのではないかという気がするわけです。
もう、 時間がきましたんで、 止めますが、 後一つだけ、 私が考えていることがあります。 実は環境問題について、 経済学という学問は、 正直言ってサボっていたわけですね。 もっと言えば、 経済学の主流の人は市場万能、 市場メカニズム万能でございますから、 温暖化だってほおっておけば、 マーケットメカニズムで解消されるとか、 それに近い考えを持っておられたのではないかと思うんです。 しかし、 経済の目的というのが貧困の解消だとか、 不平等の解決だとか、 不況の克服ということだとすると、 当然この環境問題も一つの重要な目的になる。 目的にならなければいけない訳ですね。 すると、 その目的をどうやって達成するのか。 達成の仕方が重要になります。 一つのやり方は、 いろいろ規制だとか、 あるいは法律による義務づけだとかでやっていく方法があるわけです。 もう一つは、 誘導すると言いますか、 市場を尊重しながら対策を立てていく。 炭素税だとか、 排出権取り引きだとかですね、 さっき言った税制のグリーン化だとかをとっていく方法です。 私はその方法として、 規制の強化や、 禁止強化だとか義務づけというものではなくて、 どうやったら効果的か、 そっちの道を選んだ方が安いんだよ、 そして得なんだよという方法の中から問題を解決する方法を選ぶべきだと思っております。
そういうような方法で、 の問題、 あるいは我々の暮らしの問題を解決していくべきだと思います。
甚だちゃらんぽらんなことを申し上げましたけれども、 時間がちょっと過ぎましたけれども、 私の話、 以上で終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。