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基調講演

「地球温暖化と運輸・くらし」 流通科学大学商学部教授  栗原 宣彦

 

こんにちは。 栗原でございます。 今日、 このフォーラムで、 環境に優しい交通システムの構築を目指してという題で、 基調講演をするという、 「羽目」 になってしまったという感じが若干しております。

上子九州運輸局長のご挨拶の中にもありましたように、 私は、 大学では今、 商流と物流、 まあ、 運輸と関係なくは無いんでございますが、 商流と物流を教えておるわけでございます。 その2年ほど前まで、 日本経済新聞で新聞記者をやっておりまして、 運輸政策のウォッチャーとしてはずいぶん長い経験があると思うんでございますけれども、 外部からものを見ていたわけでございます。 いずれにせよ当事者ではありません。 今日のテーマで若干関係あるとすれば、 運輸省の中に運輸政策審議会というのがございまして、 それが、 今年の4月ですが、 運輸部門における地球温暖化問題への対応方策についてという答申をまとめました。 その委員をやっていましたから、 今日こういう所に来て話をする羽目になってしまったわけです。 基調講演というのはどういう話をするか。 いろいろなシンポジウムの経験ですと、 あんまり後の討論内容に触れないのも具合悪いし、 触れ過ぎるとまた具合が悪いという、 触れるような触れないようなことがいいのだという、 私なりに理解をしている訳です。 果たしてそういうものになるかどうか分かりませんが、 一応、 私の務めを果たさせて頂きたいと思います。

今、 局長のご挨拶の中にもございましたが、 地球の問題が、 非常にやかましくなっております。 その原因が温室効果ガスです。 温室効果ガスというのは炭酸ガス、 二酸化炭素、 とかフロンというものでございますけれども、 その温室効果で、 地球の温暖化が非常に懸念されておるわけです。 この分野は、 私の専門ではないのですが、 大変膨大な関係資料を交通アメニティ推進機構がお配り頂いております。 その中にも書いてございますので、 この話はしなくてもいいんですけれども、 気候変動に関する政府間パネル (IPCC)、 その第二次評価報告書によりますと、 二酸化炭素の濃度が、 産業革命前の約280PPMから現在は360PPMにまで増加している。 さらにこれがまだ増えそうだ。 そして、 このため過去100年の間に地球上の平均温度が0.3度から0.6度上昇している。 つまり、 地球が暖かくなっているわけです。 特に1950年以降の温度の上昇が著しいらしいわけです。 もしこれからも、 こういった傾向つまり、 などの温室効果ガスの排出増加が続けば、 いろいろ、 想定があるわけですが、 2100年、 正直言えば今ここにおられる方は誰も生きていない年でございますが、 2100年に気温は2度上昇し、 海面が50センチ、 これは平均でもっと高くなる所もあるわけですが、 平均50センチ上昇することが予測される。 50センチの海面上昇で被害を受ける人が増えるわけですが、 今の毎年被害受ける人の倍の9,200万人くらいの人が被害を受けることが言われております。

 

 

 

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