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いうことが前提になっておりまして、ECというのはかなりきつい環境基準を決めているわけですね。ですから、ECに加盟するためには、いかにその厳しい基準を達成していかなければならないかという、いわば先輩がいるわけです。

ところが、アジアの諸国をとってみますと、工業的な発展を一番早く達成して、生活水準のレベルも上げたということで、日本が先輩にならなければならないわけですね。アジアの中で一番中心になって、21世紀に日本の都市計画はどうなのか、日本の交通政策はどうなのか、日本人の生活スタイルはどうなのか、あるいは日本のドライバーはどんなに私たちの参考になるのか、お手本になるのかということは、私は21世紀になって問われるであろうと思います。仮に日本が経済大国から滑り落ちたとしても。

例えば英国というのはかつては大英帝国であったわけで、たくさん遺産を持っているわけですね。観光資源だとか、あるいは科学だとか文化だとかですね。エジプトからぶんどってきたと言えばそれまでですが、英国のミュージアム、ブリティッシュ・ミュージアムのようなものを持って、遺産で食べることだって、生活することができる。そこまで見越してやったかどうかは分かりませんが、結果的にそういう状況であります。

従って、21世紀に日本は経済的にはおそらく半ば頃には中国に追い抜かれるかも知れない。しかし、生活スタイルを見て、日本の都市計画を見て、あるいは日本の交通政策を見て、アジアの人たちは中国を模範にするのではなくて日本を見習いたいというふうになっていくことが、私は日本が将来生き延びていく道ではないかと考えております。

 

1.地球規模の大気環境の現状

 

「1.地球規模の大気環境の現状」というところで、コピーをし残したのが2点ばかりありますので、補足しておきたいです。『環境白書』の31ページで、「産業革命以降、人為的に排出された温室効果ガスによる地球温暖化への直接的寄与」、つまり、どういう物質が一番産業革命以降、温室効果ガスをもたらしてきたかということで、そのデータを挙げていなかったのでご紹介をしておきます。我々が一番これから問題にします二酸化炭素で1992年現在の数字ですが、63.7%であります。それからメタンというのがありまして、日本ではそれほど大きな問題になっていませんが、これが19.2%、亜酸化窒素で5.7%、CFC(クロロフルオロカーボン)ですが、オゾン層を破壊するフロンの一種なのですが、これとHCFCの2つで、10.2%です。

日本では非常に二酸化炭素のウエイトが高いものですから、二酸化炭素、二酸化炭素ということになりますが、それ以外の物質も地球温暖化に貢献していると、世界的にいえばそういう状況であるということを1つ付け加えておきたいこと思います。

大気圏の現状を考えた場合、もちろんCO2が非常に重要な問題なのですが、皆さんご存じのように、フロンによるオゾン層破壊も問題であります。フロンというのは一度大気中に出ますと、1年や2年では消滅するわけではありませんから、現在、生産停止になっ

 

 

 

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